まとめ
- メタボリックシンドロームとは「内臓脂肪が溜まった状態」。
- 肥満と肥満症の違いは「健康障害があるかどうか」。
- 目標とする体重は年齢によって異なります。
みなさんはメタボという言葉を聞いて何を思い浮かべるでしょうか。肥満や不健康な状態をイメージされると思いますが、正確な言葉の意味についてご存じの方はそれほど多くないのではないでしょうか。
今日はメタボについて、またそれに関連して肥満と肥満症の違いや目標とする体重について解説しますので、健康との関連について詳しく学んでいきましょう。
メタボとは?
まずメタボ (メタボリックシンドローム) という状態は、単純に太っているという意味ではありません。
正確には「内臓脂肪の蓄積があり、かつ血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れている状態」を指す言葉です (参考文献 1) 。
内臓脂肪の蓄積を正確に計測するためには、CTスキャンなどを用いて評価することが望ましいですが、時間や費用がかかる検査です。そのため健康診断などの健診の場面では、ウエストの長さ (腹囲) を用いて内臓脂肪を評価しています。
腹囲とは立った状態 (立位) のへその高さで測ったウエストの長さです (参考文献 2) 。腹囲のほか、メタボにおける血圧や血糖などの基準については、下記の通りになります (画像) 。
肥満と肥満症の違いとは?
肥満とは「脂肪が過剰にある状態で BMI が 25kg/m2 以上である状態」と定義されています。特殊な例として、アスリートのように筋肉が多い方で BMI が 25kg/m2 以上の場合は肥満とはなりません。
また、 BMI が 35kg/m2 以上の場合を高度肥満といいます (参考文献3) 。
BMI (Body mass index) は体格指数とも呼ばれ、以下の計算式によって求められます。
体重[kg] / (身長[m]×身長[m])
例えば、身長 160cm で体重 64kg の人の BMI は、
64[kg] / (1.6[m]× 1.6[m]) = 25kg/m2 です。
そのため、身長が 160cm の場合、体重が64kg以上だと『肥満』の条件を満たしますね。
肥満と似た言葉に肥満症があります。この肥満症は「肥満があり、肥満に関係する健康障害を合併するか医学的に減量の必要な状態」と定義されています。
さて、肥満が関係する健康障害とはどのようなものでしょうか。具体的には以下に示すような疾患になります (参考文献 3) 。
これらの病気は肥満を改善することで、一定の改善効果が得られる可能性が高いと考えられています。
ここまで説明したメタボリックシンドロームと肥満症の関係は以下のようになります。
標準体重と目標とする BMI
最も健康的である体重を標準体重といい、これは BMI が 22kg/m2 となる体重とされています。例えば身長 160cm の人であれば、
体重[kg] / (1.6[m]× 1.6[m])= 22kg/m2
となる体重は 56kg になるので、56kg が標準体重ということになりますね。
この標準体重は職域健診の異常(血圧や血液検査の結果など)が最も少なくなる BMI に基づいています。しかしここで元となった研究の参加者は 30〜59 歳に限定されていた点には注意が必要です (参考文献 4) 。
また、この標準体重とは別に目標とする BMI が存在します。2020年の食事摂取基準によると、年齢によってやや異なり、下記の表のようになります。
例えば年齢が 18〜49 歳で身長 160cm の人では、目標とする体重が 47kg〜64kg になりますから、痩せて体重が少なくなるほど健康に良い、ということではないという点に注意してくださいね。
さて、今回はメタボリックシンドロームと肥満の関係、標準体重と目標とする BMI についてお話ししました。
これらの言葉の違いについてご理解いただけましたか。次回の記事では肥満の解消や予防についてお送りしたいと思います。
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。