まとめ
- 厚生労働省が「避難所生活で健康に過ごすために」というリーフレットで、避難所生活での注意点をまとめています。
- 感染症対策としては、丁寧な手洗いや、正しいマスクの着用が重要です。
- 食中毒対策としては、出された食事は保管せずにできるだけ早く食べる必要があります。
災害大国である日本では、地震や津波の後に避難所生活が続くことがあります。避難所生活では健康上の問題が生じやすいです。今回の記事では、厚生労働省の作成した資料に基づいて、避難所生活における注意点をまとめます。
避難所生活で健康に過ごすための 8 つのポイント!
まず、「避難所生活で健康に過ごすために」というリーフレットでは、次の 8 ポイントが推奨されています (参考文献 1) 。
- 水分・塩分補給をこまめに
- 手を清潔に
- 食中毒に注意
- 体の運動
- うがい・歯磨き
- 十分な睡眠・休息
- マスクを着用
- 薬で困っている場合は相談を
このうち、1番に挙げられている「水分・塩分補給」は、夏の災害時での熱中症予防で特に重要です。また、4番で書かれている「体の運動」は、エコノミークラス症候群の予防や、寝たきりの予防に効果的です。
エコノミークラス症候群とは、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないことで、血行不良が起こり血液が固まりやすくなり、その結果、血の固まり (血栓) が血管の中を流れ、肺などで詰まってしまう病気のことです。予防のために以下のような足の運動を行いましょう。
厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」リーフレットより引用
エコノミークラス症候群の予防のために (mhlw.go.jp) (2024年1月5日アクセス)
7番の「マスク着用」は、感染症対策はもちろん、アレルギーの原因となるほこりを避ける効果もあります。特に家屋などが倒壊した地域ではコンクリートなどが大気中に舞ったり、土砂が乾燥して細かい粒になったりすることがあり、そのような「粉じん」を防ぐ意味でもマスクは大切です。8番に書かれている「薬」の件ですが、薬が手元に無いなどのトラブル時には医師/薬剤師/保健師などにご相談下さい。
避難所生活での感染症を対策するには?
続いて、感染症対策については「災害時における避難所での感染症対策」というページで、より詳しく解説されています (参考文献 2) 。
- まず食事前や調理前、トイレ使用後にはしっかり手洗いをしましょう。手全体を丁寧に洗い流して下さい。指先や親指は洗い残しやすいので、特に意識して洗いましょう。
- 1 回洗うだけでは菌やウイルスを十分に洗い流せないことがあるため、手洗い時には「 2 度洗い」が推奨されます。同じ手順を 2 回繰り返すことで、洗い残しを防止できます。
- 流水での手洗いが出来ない場合には、アルコールを含んだ手指消毒薬を使用しましょう。ただし、アルコールはノロウイルスの不活化にはあまり効果がないとされています。
- マスクをお持ちの方は、正しくマスクを着用しましょう。鼻と口の両方を確実に覆ってから、ゴム紐を耳にかけてください。隙間なく鼻まで覆うのがポイントです。マスクが無い方が咳やくしゃみをする際は、ティッシュで口と鼻を覆います。マスクもティッシュもない場合には、二の腕で口と鼻を覆って下さい。
避難所生活で食中毒を予防するには?
この他、災害時には食品の低温保管ができなくなるなど、食中毒が発生しやすい状況になります。食中毒対策としては、厚生労働省は次の対策を推奨しています (参考文献 3) 。
- 調理や配付、食事の前には、よく手を洗いましょう。水が十分に確保できない場合には、ウェットティッシュ等を活用しましょう。
- 調理を行う際は、食材を火や熱湯で十分に加熱しましょう。野菜などを生で食べる場合には、よく洗いましょう。
- 下痢、発熱、手指に傷がある方は、食品の調理や配付を行わないようにしましょう。
- 調理を行う台所や食器などを、可能な限り清潔に保つようにしましょう。
- 避難所等では、出された食事は保管せずできるだけ早く食べるようにしましょう。また、時間が経ち過ぎたら思い切って捨てましょう。
体調が悪くなった方は近くの方に相談し、医師の診察を受けられるようにしましょう。以上、避難所生活における健康上の注意点についてまとめました。皆様が健康を守る一助となれば幸いです。一人でも多くの方の命や健康が保たれることを心より祈念しております。
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