放置は危険!脂肪肝はお酒を飲まなくても怖い!?医師が解説!

まとめ

  • 非アルコール性脂肪肝は放置すると脂肪肝炎から肝硬変、肝がんへ悪化する事もある病気です。
  • 太っている人や糖尿病の人は、特に腹部のエコー検査が勧められます。
  • 治療には食事と運動が重要です。

みなさん、脂肪肝という病気を聞いたことがあるでしょうか?「お酒を飲む人の病気でしょ?」と思った方もいると思いますが、脂肪肝にはアルコールが原因の脂肪肝とアルコールが原因の主体ではない脂肪肝があります (参考文献 1) 。
今回はアルコールが原因の主体ではない脂肪肝 (非アルコール性脂肪肝疾患 以下脂肪肝) について解説します。

この記事を書いた医師

大坂 貴史

Takafumi Osaka

非アルコール性脂肪肝とは?

非アルコール性脂肪肝疾患は状態がほとんど悪くならない非アルコール性脂肪肝と、病気がどんどん悪くなって肝硬変や肝癌などにもなる非アルコール性脂肪肝炎の二種類があり、この非アルコール性脂肪肝の一部が脂肪肝炎へ移行する (参考文献 2) と言われています。
非アルコール性脂肪肝炎は非アルコール性脂肪肝と比べて肝臓癌になりやすいと言われているため、この違いは重要です (参考文献 2) 。

この脂肪肝のある方では肝癌だけでなく、大腸がんや女性の乳がんの発生頻度が高い (参考文献 2) ほか、心臓病にもなりやすい (参考文献 3) という事が知られており、また脂肪肝の患者さんの多くはメタボリックシンドローム (※) を合併しているため (参考文献 1) 、様々な病気と関連があります。

※メタボリックシンドロームについては過去の記事も併せてご覧ください。

太っていなくても脂肪肝に注意!

この脂肪肝は太っている人に多い病気というイメージがあると思いますが、日本の検診受診者で BMI が 25 未満の人のうち、脂肪肝のある人は 15% と報告されており (参考文献 4) 、決して無視はできない比率です。

実は日本人を含むアジア人は欧米人と比べても太っていない人の脂肪肝が多いのではないかと言われており、それには遺伝の要素が関係しているそうです (参考文献 2) 。

脂肪肝の検査方法は?

簡便に脂肪肝を調べるためにはお腹の超音波検査が勧められています (参考文献 2) 。血液検査の肝機能検査でも脂肪肝が疑われる場合がありますが、血液検査の肝機能検査が正常であっても脂肪肝ではないとは言えないと報告されているので (参考文献 5) 、血液検査だけで自分は大丈夫と判断するのは危険です。

また、非アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎を区別する方法として、肝生検という肝臓の組織を少し取って調べる検査があります。お金がかかり、入院が必要なので中々大変ではあるのですが、他の肝臓の病気の可能性があったり、肝臓がかなり悪かったりというケースには必要となる場合があります (参考文献 2) 。

脂肪肝と診断されたら?

脂肪肝の治療に対して、現在特に有効なお薬はありません。

食事で摂る総カロリー数を減らし、積極的に運動を行い、日常的な習慣を変える事で体重を減らすことが、脂肪肝への重要な治療であると報告されています (参考文献 2,6) 。

※食事や運動については過去の記事も併せてご覧ください。

簡単にはよくなりませんが、地道に頑張って良くしていきましょう。また、健診などで脂肪肝が見つかった場合には必ず内科を受診しましょう!

COI

本記事について、開示すべき COI はありません。