まとめ
- 屋内に入ってくる紫外線の種類は UVA 。
- UVA はビタミンDを産生できず、それでいて皮膚がんやシミ、シワ、たるみの原因に…
- 屋内でも日焼け止めや紫外線カット窓フィルムで紫外線対策を!
紫外線が肌に悪いことは皆さんご存知でしょうが、「ポカポカして気持ちいいから日光浴が好き」という方もいらっしゃるでしょう。
また、紫外線が産生するビタミンDは丈夫な骨を保つために必要 (参考文献 1) ですから、ビタミンDを作ろうと室内で窓越しに日光浴をしていらっしゃる方もいるのではないでしょうか?
今回はそんな窓越しの日光浴が身体へ与える影響について皮膚科専門医が解説します!
UVA、UVBと体への影響
まず、地上に届く紫外線には UVA と UVB の2種類があります。
より詳細は「紫外線って何? UVA や UVB の違いを知ろう!」の記事をご覧ください。
日光浴の代表的なメリットとして「ビタミンD産生」、デメリットとして、「皮膚の光老化(シミ/シワ/たるみなど)、「皮膚がんの発生」が挙げられます。
この3項目と、UVA および UVB の関係性は次のとおりです (参考文献 2) 。
- ビタミンD産生
- UVA はビタミンDを合成できない
- UVB はビタミンDを合成できる
- 皮膚の光老化について
- UVA も UVB も悪化させる方向に働く
- 特に UVA は強く関連する
- 皮膚がんの発生について
- UVA も UVB も原因になってしまう
- 特に UVB は強く関連する
UVA、UVBと窓の関係
続いて、家や車などの窓ガラスを紫外線が通過するかどうかです。
結論としては、
- UVA⇒窓ガラスの種類によるが、それなりに通過してしまう
- UVB⇒ほぼ通過しない
ということです (参考文献 3) 。
つまり、窓ガラスを通過して屋内に入ってくる紫外線の中には、ビタミンD産生に役立つ UVB はほぼ含まれていません。
したがって、いくら窓越しの室内で日光浴をしてもビタミンDは作れないのです。
それでいて、皮膚がんができたり、シミやシワ、たるみが発生したりする原因になるので、踏んだり蹴ったりですね…
屋内での日光浴は健康面ではプラスにはならず、マイナスが大きいのです。
(紫外線不足でのビタミンD不足が心配な方はサプリメントの使用なども検討されますが、より詳細は病院で相談してみましょう。)
窓越しの紫外線の長期的な影響と対処方法
参考までに、運転席の左側の窓から陽射しをあび続けたトラック運転手の方のお顔を御覧ください (参考文献 4) 。
したがって、たとえ屋内や車中であっても、UVA を防げる日焼け止めを塗るなどの対策が必要です。
UVAを防げる日焼け止めかどうかは「PA」という表示を見ればわかります。
詳細は「日焼け止めってどう選べばいいの?皮膚科専門医が解説」の記事を御覧ください。
参考までに、アメリカの皮膚がん財団は、屋内の紫外線対策として「紫外線カット窓フィルム」の使用を推奨しています (参考文献 5) 。
もちろん彼らのオフィスはすでに紫外線カットフィルムを導入済みです。
窓フィルムのおかげで紫外線を防げるのはもちろん、昼下がりのまぶしさが軽減されたり、暖房の暖かさを効率よく維持できたりするとのことです。
市販されている製品もあるので、気になる方は家や車の窓へ紫外線カット窓フィルムを導入してみても良いでしょう。
以上、窓越しに入ってくる紫外線について説明しました。
室内の日光浴はメリットが少なく、それでいてデメリットが多いです。屋内や車中に入ってくるUVAが皮膚がんや皮膚老化を招くので、「窓越しの日差しなら大丈夫だろう」と油断せず、適切な紫外線対策を行ってみてくださいね!
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。