まとめ
- 帯状疱疹は80歳までに3人に1人がかかるとされるとされる、痛みの伴う病気です。
- 早めに治療しないと後遺症の痛みに長期間苦しむこともあります。
- 50歳以上の方などはワクチンで予防しましょう!
帯状疱疹 (たいじょうほうしん) という病気を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか?皮膚が痛くなる病気として有名であり、80歳までに3人に1人がかかるとされています (参考文献 1) 。
帯状疱疹は、長期的な後遺症に悩まされることもあり、早期治療と予防がとても大切な病気です。今回の記事では、帯状疱疹の特徴と治療、予防について皮膚科医が解説します。
帯状疱疹ってどんな病気?
帯状疱疹はウイルス感染が引き起こす皮膚の病気です。
過去に水ぼうそうにかかったことがある人の神経の中には、水ぼうそうのウイルスがずっと眠っています。水ぼうそうにかかった自覚がなくても、神経の中に入り込んでいることもあります。
歳をとったり病気にかかったりして免疫が落ちると、眠っていたウイルスが目を覚まして、神経の上を移動しはじめます (参考文献 2) 。
最初は体のどこか片側だけがピリピリ痛くなり、数日経つと痛みのある領域に赤みや水ぶくれが次々と出てきて、帯状疱疹となることが多いです。
帯状疱疹は頭の先から足の指先まで、どこにでも出てくる可能性があると覚えておきましょう。
帯状疱疹にかかったらどうすればいい?
体の片側に痛いぶつぶつが出てきたら、できるだけ早く皮膚科を受診してください。基本的にはウイルスをやっつける飲み薬で治療します。
帯状疱疹だった場合、発症してから72時間以内に治療を始めたほうがよいとされているため、受診を後回しにしない方がよいでしょう (参考文献 3) 。
治療が遅れると後遺症が残ることも
治療が遅れると、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる後遺症が残ってしまうことがあります。
これは「電気が流れるような痛み」「焼かれているような痛み」などと表現されるような、かなり辛い後遺症です。60歳以上の方ほどリスクが高いです (参考文献 4) 。
連休などで受診できる皮膚科がないときは、総合病院の救急外来を受診してくださいね。
50歳以上の方はワクチンで予防できます!
実は50歳以上の方には「シングリックス®」という帯状疱疹ワクチンがあります。
いわゆる不活化ワクチンであり、病原菌を直接注射するわけではないので、免疫が落ちている方でも打つことができます。
ワクチンの効果についてですが、海外の研究では、2か月の間隔をおいて計2回ワクチンを打つことで、50歳以上の方に帯状疱疹が起きる確率を約 97% 減らすことができたという報告があります (参考文献 5) 。
また、ワクチンの効果は少なくとも10年は持続するとされています (参考文献 6) 。
2023年6月には、がんなどで免疫が低下している18歳以上の方にも打てるようになりました (参考文献 7) 。
費用は2回の接種で約4万円と高額ですが、地域によっては補助金が出ますので、住んでいる自治体のホームページを確認してみてください。
予防に勝る治療なし!
痛みが付きまとう人生はなるべく避けたいところです。
「帯状疱疹かな?」と思ったら早めに皮膚科へ行きましょう。
また、ワクチンの対象になっている方は早めに接種して、帯状疱疹を予防しましょう。
親御さんなど周りの方にも、帯状疱疹やワクチンについて、ぜひとも教えてあげてくださいね!
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