マダニ対策!怖い感染症から身を守ろう

カテゴリ:感染症

公開日:2022/06/30/

最終更新日:2022/08/16

まとめ

  • マダニは 重症熱性血小板減少症候群 など感染症の原因になり、命を落とすことも!
  • ディート等が配合された虫よけ剤を使いましょう。
  • 肌の露出が少ない服装&自宅に持ち込まないための対策を!

マダニは草むらや藪 (やぶ) などに生息し、ヒトの体や衣服に付着して血を吸すダニの一種です(参考文献1)。大人のマダニは普段は 2-8 mm 程度ですが、ヒトなどから血を吸った後には胴体部がふくれて全長 10-20 mm に達することもあります。厄介なのは、マダニの体内にウイルスなどがいると、刺されたヒトが感染症をうつされてしまうケースがあることです。

【注意】画像をクリックすると本物の画像が表示されるので、
苦手な方は注意してください

マダニによる感染症としては、

  • 日本紅斑熱;西日本で特に多く、年間300例程度。
  • 重症熱性血小板減少症候群;2013年以降に西日本を中心に報告され、年間100例程度で死亡率が高い。
  • ライム病;標高1000m以上の山岳地帯で多く、年間10-20例程度。
  • ダニ媒介性脳炎;2016年以降に北海道で報告が続いており、年間1,2例程度。

などがあります (参考文献 1,2) 。マダニに刺されて命を落とす可能性があるのは怖いですよね……

今回の記事では、マダニから身を守るための対策を簡単に解説します!

この記事を書いた医師の名前

江畑 慧

Satoshi Ebata

医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士

Lumedia編集長。静岡皮膚科(2024年3月開業/静岡駅徒歩3分)院長。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。 Lancet姉妹誌などに多数論文掲載。東大病院病院長賞などを受賞。適切な科学的根拠に基づくスキンケア情報を発信中。

マダニ対策

マダニへの対策は大きく次の3種類に分けられます。

  1. 虫よけ剤を活用する。
  2. 外出時の服装を工夫する。
  3. 自宅に持ち込まないように気をつける。

順に説明していきます。

①虫よけ剤を活用する。

2013年からマダニに対して有効な虫よけ剤が認可されています (参考文献 3) 。市販されているものとしては『ディート』もしくは『イカリジン』という有効成分を含むものです。特に『ディート30%配合』か『イカリジン15%配合』と表示されている製品なら、8時間近く効果が続くので安心です。

詳細は以前に書いた『虫よけ剤の選び方』という記事をご覧ください。

ただし、虫よけ剤を使えばマダニの付着数は減りますが、マダニによる被害を 100% 防ぐものではありませんしたがって、服装などと上手く組み合わせて万全の対策を取る必要があります

②外出時の服装を工夫する。

マダニが肌にくっつかないようにするためには、肌の露出をなるべく少なくすることがポイントです (参考文献 1,3) 。特に気をつけたいのは腕や足、首ですね。


具体的には、

  • 長袖シャツの袖口 (そでぐち) を、軍手や手袋の中に入れる。
  • 長袖シャツの裾 (すそ) を、ズボンの中に入れる。
  • 長ズボンの裾 (すそ) に靴下をかぶせたり、裾を長靴の中に入れたりする。
  • 首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着る。
  • 帽子をかぶる。
  • マダニがくっついた時に気が付きやすいよう、明るい色の服を着る。

などの対策が有効です。
※服装の具体的なイメージはこちら (参考文献 3) をご覧ください。

「暑いから半袖・半ズボンで草むらに入っちゃえ!靴もサンダルでいいや!」は NG ですよ!

虫よけの加工がされた服を選ぶ

アメリカ疾病予防管理センターは「ペルメトリン加工の服装」の使用も推奨しています。

ペルメトリンは、ダニや蚊などに対しては毒になりますが、人での使用は安全と考えられている成分です (参考文献 5) 。殺虫剤であるペルメトリンを生地につけておけば「着るだけで虫よけ」が可能な服ができあがるわけですね。

実際に、世界中の虫から身を守らなければならない米軍は、ペルメトリン加工の軍服を採用しています。一般の方向けの製品を作っているメーカーとしては『インセクトシールド』が比較的有名です。

プラスアルファとして、こうした製品を購入するのもアリでしょう。

③自宅に持ち込まないように気をつける。

マダニは色々な感染症の原因になると紹介しましたが、そんなマダニが家の中に入ってしまうと家族にも迷惑ですよね。マダニの家への侵入を防ぐために、屋外で活動した後には次のような対策を意識しましょう (参考文献 1,3) 。

  • 上着や作業着を家の中に持ち込まない。
  • 服に付いたダニをガムテープ等で取り除く。
  • 入浴してダニが付いていないかをチェック。
  • 特に、脇の下、足の付け根、手首、膝裏、胸の下、髪の毛の中を重点的に確認。

なお、もし吸血中のダニに気がついても無理に取り除こうとはせず、皮膚科などの医療機関を受診して下さい。

以上、マダニから身を守るためのテクニックを紹介しました。

マダニに刺されて怖い感染症にかかることを避けるために、草むらなどに入る際には万全の対策を行ってくださいね!

COI

本記事について開示すべき COI はありません。