話題の健康アイテム「腹筋ベルト (EMS運動器) 」の効果は?医師が解説!

まとめ

  • ダイエットの効果は示されていない
  • つけるだけで楽にシックスパックにはならなそう……
  • 病気などで筋力の落ちた人へのリハビリになら有効かも

「EMS」って知ってますか??よくテレビでお腹に機械を巻いた人が
シックスパックを手に入れよう!”
綺麗なウエストを手に入れよう!!”

と宣伝している健康器具です。今回は、
EMS とはどんなものなのか??
健康な人に筋トレ・ダイエット効果はあるの??

そんな疑問に、専門医がお答えします。

この記事を書いた医師

大坂 貴史

Takafumi Osaka

【腹筋ベルト】EMS 運動器とは?

EMS は Electrical Muscle Stimulation の略で、電気で筋肉を刺激する機械のことです。「腹筋ベルト」という商品名で売られていることも多いですね。

そもそも筋肉が収縮するためには脳から電気の信号が神経を通って伝わることが必要です。しかし、皮膚の上から電気で刺激をすることによって自分の意思とは関係なく筋肉を動かすことが出来ます。

筋肉を 大きくする/小さくするのを予防する ためには筋肉を動かすことが必要で、通常のトレーニングにプラスして外部から電気刺激を行うことでトレーニングの効果を高める目的で開発されました (参考文献 1)。

EMS のリハビリでの応用

EMS の効果が期待できるかもしれないのは、脳梗塞などの病気で筋肉が落ちてしまった方や高齢者でのリハビリです。過去の研究では「筋量アップに有効かも」というデータが出ています (参考文献 2)。

ただ、その根拠はまだ十分ではなく (参考文献 2) 、アメリカの脳卒中ガイドラインでもその効果は限定的とされています (参考文献 3) 。

また、注意しなければならないのは、これらの研究は呼吸器・循環器などの「疾患を抱えた人」「リハビリ」としては EMS が有用である可能性を検討したものである点です。言い換えると、健常者への効果を示したものではありません。

【腹筋ベルトの効果】健康な人に EMS はダイエット効果がある?

健常人に対する効果も明らかではありません (参考文献 4, 5) 。
また、 EMS が脂肪を減らすことを明らかにした研究はありません。

それにもかかわらず EMS は、ダイエット目的やいかにも筋肉ムキムキになるかのような広告が行われています。それを受けてアメリカ食品医薬品局 (FDA) は EMS の広告に対して「ウエストの減少」「体重の減少」「身長の減少」「セルライトの除去」「バストの発達」「ボディのシェイプアップ」「シミの減少」などの言葉を規制しています (参考文献6) 。

EMS だけでシックスパックは達成できない!

また、EMS は体力・筋力の落ちた患者の治療として使われるべきで、見た目の筋肉が大きくなるような目的では使用するべきではないとしており、少なくとも食事・運動抜きの EMS 単独の使用で「シックスパック」は達成できないとしています (参考文献 7)。

日本における動向としては2020年3月31日に景品表示法違反で EMS を販売している4社が根拠なくダイエット効果を謳っているということで措置命令を受けています (参考文献 8)。

【腹筋ベルトのリスク】EMS 運動器は、使い方を間違えると恐いことも……

EMS は皮膚の上から電気を流して筋肉を収縮させる装置です。
したがって、効果を上げるためには電気を強くする必要になるのですが、その場合火傷や痛み、感電などの恐れがあります。

さらに、ペースメーカーを付けている方は干渉の恐れがあり、アメリカでは FDA の認証が必要となっていて、それ以外の機械は違法となっています (参考文献 7)。

適正な腹筋べルトの使用を心がけましょう

以上のように EMS に関して、その効果を盛った広告が多く出回っている現状があります。でもこの記事を読んでくださった皆さんは、EMS には少なくともダイエット効果が示されていないことを理解していただけたと思います!

残念ながら「EMS だけで楽してシックスパックに!」とはなれませんので、かっこいい腹筋を手に入れたい皆さんはしっかり筋トレをがんばってくださいね!

COI

本記事について、開示すべき COI はありません。