まとめ
- ニキビをつぶすと、ニキビを悪化させたり、ニキビの痕が残ったりするリスクがあります。
- 自分ではニキビを触ったり、つぶしたりしないのが鉄則です。
- ただし、病院では保険適応でニキビの中身を押し出す処置を行うこともあるので、お困りでしたら医師にご相談を!
ニキビは多くの方がお悩みの身近な皮膚トラブルです。実際にニキビで悩んだことのある方や、「早く治したいなぁ」と思って、ついつい自分でニキビをつぶしたことがある方も多いのではないでしょうか?
一方で、「本当はニキビをつぶす方がよいのかどうか」について、しっかり理解している方は少ないかと思います。今回の記事では、ニキビをつぶすべきなのか、つぶさないべきなのか、皮膚科専門医が解説していきます!
ニキビは自分でつぶすべきではない
まず、「ニキビがどのようにできるのか」については、以前に出した記事で簡単に解説しているので、そちらをご確認ください。
今回の記事の本題である「ニキビはつぶすべきか」について、結論から言うと、基本的に「ニキビはつぶすべきではない」とされています。アメリカ皮膚科学会のホームページでは、「自分でニキビをつぶすのは逆効果だよ」と明言しており、ニキビをつぶすことの危険性として、次のようなことを紹介しています (参考文献 1) 。
- ニキビ痕 (あと) がずっと残ってしまう
- ニキビがより目立つようになってしまう
- ニキビがもっと痛くなってしまう
- 感染症を合併してしまう
ニキビの中身を皮膚の奥に押し込んでしまうと、炎症が悪化してニキビの経過をむしろ悪くしたり、ニキビ痕や痛みを生じたりするのです…。しかも、手に付着した細菌によって、皮膚の感染症を合併するリスクまであります (参考文献 1) 。
アメリカ皮膚科学会はもう少し踏み込んで、「顔には手を近づけないで。触ったり、つまんだり、つぶしたりするとニキビが悪化するかもしれないよ。」と呼びかけています (参考文献 1) 。
自分でニキビをつぶしたせいで、治りが悪くなったり、さらには痕が残ったりしては残念ですよね。ついついニキビをつぶしたくなっても、その気持ちをぐっとこらえてくださいね。
必要に応じて皮膚科医がニキビをつぶすことはある
一方で、実は病院ではニキビの中身を出す治療が必要に応じて行われることもあります。
さきほどのアメリカ皮膚科学会のホームページには「皮膚科医はニキビを安全に取り除く技術をもっている」と書かれています。皮膚科医が処置する場合には、細菌がついているかもしれない、清潔ではない手でニキビをつぶすのではなく、滅菌という細菌などを取り除く処理がなされた清潔な器具を用いてニキビを処置します (参考文献 1) 。
下に掲載したYouTubeのショート動画では、実際にその処置の様子を見ることができます。
※処置の様子を見たくない方は再生しないで読み飛ばしてください。
皮膚科医が実際に処置をする動画 (Youtube ショートに飛びます)
この動画では、皮膚科専門医の先生が、特殊な器具を用いて次々にニキビを上手に処理しています。動画を見ると「ニキビを強引に押しつぶしている」のではなくて、「ニキビ周囲を圧迫して中身を押し出している」ことが分かるかと思います。
この処置は日本では『面皰圧出 (めんぽうあっしゅつ) 』と呼ばれています。『面皰』とは毛穴の中に皮脂がたまった状態のことです。面皰の中は皮膚の脂 (あぶら) である『皮脂』が豊富にあり、かつ酸素が少ない状態になっていて、ニキビを引き起こすアクネ菌が増えやすい環境になっています (参考文献 2) 。この面皰の中身を上手に圧出 (押し出す) することで、ニキビを早く治すのですね。
この面皰圧出というテクニックは、日本皮膚科学会が発行しているニキビのガイドラインにおいても、次のようなケースでニキビ治療の選択肢の一つとして推奨されています (参考文献 3) 。
- 面皰という毛穴が詰まった状態のニキビから「皮脂」を排出する
- 炎症性皮疹というニキビが赤くなったり膿が溜まったりしている状態のニキビから「膿」を排出する
ご自分のニキビが面皰圧出をすべき状態なのかどうかについては、病院で担当の医師に相談してみることをオススメします。
面皰圧出は医療保険が使える処置
この面皰圧出の処置は、保険適応で受けることが出来ます。例えば、医療機関等の窓口で支払う医療費の自己負担割合が「3割」の方の場合、たったの150円程度で処置を受けることが出来ます (参考文献 4) 。
※受診料などは別途必要になります。
各医療機関が値段を自由に設定できて保険も効かない自由診療とは異なり、「値段が高くなったら困るなぁ」と心配する必要はないので安心してくださいね。
今回は、ニキビはつぶしてよいのかどうかについて解説してきました。
- 自分でニキビをつぶすのはNG!
- 病院では専門医がニキビの皮脂や膿を清潔に押し出すこともあり、その処置は保険適応で安く受けられる。
と覚えておくとよいでしょう。
なお、当たり前ではありますが、ニキビはそもそも出来ないのが一番ですよね。今回紹介した面皰圧出は、あくまでニキビが出来てしまったときの対症療法です。
以前の記事で紹介したように、ニキビ治療の基本は「毛穴づまりを防ぐピーリング系塗り薬を普段から継続することでニキビの発生自体を抑えること」です。
ニキビでお悩みの方は、悪化する前から継続的に皮膚科へ通院すると良いでしょう。
皆さまのニキビに悩まされない日々を心よりお祈りしています。
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本記事について、申告すべき COI はありません。