虫よけ剤はどう選ぶ?皮膚科専門医が解説!

まとめ

  • 虫よけ剤は「ディート 30% 配合製品」「イカリジン 15% 配合製品」がオススメ!
  • 本格的にハイキングを楽しみたいなら「ディート 30% 配合製品」を。
  • お子さんなどには「イカリジン 15% 配合製品」を。

蚊や虫の増える夏に、虫よけ剤が大事なことは皆さんご存知だと思います。
ただ、どのように虫よけ剤を選べばよいのか、ご存知でしょうか?

皮膚科外来でも「オススメの虫よけ剤はありますか?」と質問を受ける機会が多いです。

今回の記事では、虫よけ剤選びで重視すべきポイントなどを解説します。

この記事を書いた医師の名前

江畑 慧

Satoshi Ebata

虫よけ剤の有効成分は大きく2種類

市販の虫よけ剤にはいろいろな成分が配合されています。

しかし、人体用の虫よけ剤として厚生労働省が承認している有効成分はたったの2つです (参考文献1) 。
1種類目が「ディート」、2種類目が「イカリジン」です。

ディートは最大で 30% まで、イカリジンは最大で 15% まで配合された虫よけ剤が販売されています (参考文献2,3) 。
配合されている濃度が高いほど効果の持続時間が長くなります。
「ディート 30%」もしくは「イカリジン 15%」と表示されている製品ならば、大体 6 – 8 時間程度は虫よけ効果が続くとお考えください。

参考までに、実際に市販されている虫よけ剤には、「ディート 30% 配合虫よけ剤」としては『サラテクトミスト リッチリッチ30』、「イカリジン 15% 配合虫よけ剤」としては『天使のスキンベープミスト プレミアム』などがあげられます。

「ディート」と「イカリジン」の使い分け方!

次に上級者編として、「ディート 30% 配合虫よけ剤」と「イカリジン 15% 配合虫よけ剤」の使い分けについてまとめていきます。

各製品がどのような方にオススメかは、次のように整理することができます。

ディート 30% 配合虫よけ剤
 →本格的なハイキングを楽しみたい方

イカリジン 15% 配合虫よけ剤
 → 12 歳以下のお子さん、匂いやベタツキ感の少ない製品が良い方、服などを傷めるリスクを下げたい方

また、「ディート 30% 配合虫よけ剤」と「イカリジン 15% 配合虫よけ剤」のそれぞれの特徴を簡単に表にまとめると、以下のようになります (参考文献2)。

虫よけ剤成分有効成分配合率持続時間注意事項特徴
ディート30%約 6 時間12 歳未満は使用禁止・独特の匂い
・ベタツキ感
・プラスチックなど、特定の繊維を腐食させることもある
イカリジン15%6 ~ 8 時間使用制限は特になし
虫よけ剤の種類と特徴 (参考文献2 「デング熱等蚊媒介感染症と媒介蚊について」表3より改変)

「ディート」のメリット

ディートの利点は、イカリジンよりも多くの種類の虫に効果を発揮することです。

ディート、イカリジンのどちらも蚊やブヨ、アブ、マダニには効きますが、ツツガムシへの有効性が確認されているのはディートだけです (参考文献4) 。
ツツガムシは山や川の周囲などに生息し、ツツガムシ病という怖い病気の原因にもなります (参考文献5) 。

本格的にハイキングを楽しみたいケースなどでは、ツツガムシ病にかからないためにも「ディート 30% 配合虫よけ剤」を選ぶのが安全です。

「ディート」のデメリット

一方で、ディートには弱点も多くあります (参考文献2) 。

1つ目は、お子さんでの安全性がまだ十分に確かめられていないことです
12歳未満の方は「ディート 30% 配合虫よけ剤」は使用できません。その年代の子供がディート配合の虫除け剤を使うときは、濃度が12%以下の製品を選ぶ必要がありますが、その場合の効果持続時間は3時間以下にとどまります。また、6ヶ月未満のお子さんではディート配合製品の使用自体が禁止です。

また、ディートには独特の匂いやベタツキ感があるので、これらが苦手な方はディート配合虫よけ剤の使用を避けるほうが良いでしょう。

加えて、プラスチックや化学繊維、皮革を腐食させることもありますから、服を傷めたくない方も避けたほうがよいでしょう。

これらの理由で「ディート 30% 配合虫よけ剤」を使いにくい人は、代わりに「イカリジン 15% 配合虫よけ剤」を選んでくださいね。

自分に適した虫よけ剤を選びましょう!

以上、虫よけ剤の有効成分や使い分けについて解説しました。

蚊、マダニそれぞれの対策についてはこちらの記事もご参照くださいね。

適切な虫よけ剤を選んで、蚊やアブなどをシャットアウトしましょう!

COI

本記事について、開示すべきCOIはありません。