Lumedia 出張版『毎日新聞医療プレミア』第10弾「自由診療のがん免疫療法は受けた方がいいのでしょうか」が公開されました!

勝俣範之先生 (日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授) が執筆した「自由診療のがん免疫療法は受けた方がいいのでしょうか」という記事が、毎日新聞の『医療プレミア』に掲載されました!

医療プレミアは、「長く健やかに暮らす」ことを目指して、健康に役立つトピックを分かりやすく伝えるウェブメディアです。

Lumedia 顧問の勝俣先生が、「がんによくある誤解と迷信」をテーマに、医療プレミアでコラムを連載しています。このコラムは、「国民の2人に1人が罹患する」とされるがんの予防や治療に関して、適切な科学的根拠に基づいた正確な知識をお届けするものです。

今回は連載の第10弾として、がんの自由診療を中心に解説をしています。以下に記事の概要をご紹介しますので、詳細が気になった方はぜひ医療プレミアの記事も覗いてみてください。

※記事は有料配信ですが、キャンペーンにより 2023年7月27日17時までの会員登録で、最初の2カ月は無料で全ての有料記事が読み放題となるそうです (2023年7月23日現在) 。
※第9弾の「商業主義の『がん検診』に要注意!」をまだお読みでない方は、こちらをご覧ください。

自由診療で行われている免疫療法は効果があるの?

日本臨床腫瘍学会から出されているがん免疫療法ガイドライン第二版では、有効性が証明されて推奨される免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤と CAR-T 療法、 BCG のみであるとし、他の免疫療法は推奨していません。

それでは、ネットで見られる、活性化リンパ球療法、 LAK 療法、 NK 細胞療法、樹状細胞ワクチン療法、がんペプチドワクチンなどの免疫療法は何なのでしょうか。これらは、 CAR-T 療法に比べると一世代前の免疫細胞療法と呼ばれるものです。

免疫細胞療法は1990年代に米国の国立がん研究所が中心となり研究が始められました。2000年代には日本でも先進医療として多くの大学病院やがんセンターなどでも研究が行われました。しかし、ほとんどの研究で臨床試験の初期段階で効果が認められなかったため開発は進まず、現在も保険適用になっていません。

つまり、有効性が証明されていない治療法なのです

自由診療の免疫療法の問題点

自由診療として行われている免疫療法の大きな問題点は、ほとんどが効果の証明がなく承認されなかった免疫細胞療法であるにも関わらず、あたかも効果があるかのように謳い高額な金額を請求している点です。

本来、効果が証明されていない治療は研究的な治療として臨床試験や治験が行われ、有効性が認められれば承認され、保険適用になります。そして臨床試験や治験の段階では、患者さんはボランティアとして医学研究に参加するのであり、通常患者さんが費用を払う必要はありません。さらに、研究的な治療は有効性の証明がないことや副作用が起こる可能性があることなど、患者さんにとって不利益になるかもしれないことについて十分な説明があった上で、患者さんが参加するかどうかを決定することができます。

効果の認められていない治療が臨床試験や治験ではなく自由診療として行われ、患者さんへの十分な説明もないままに高額な治療費を請求しているという状況は、倫理的に大変重大な問題があるのです。

「治療がもうない」と医師に言われてしまうと、患者さんとしては藁をもすがる思いで怪しげな治療にも手を出してしまう気持ちも理解できます。
しかし、一般に、最善の治療は保険適用になっています。逆に、保険適用になっていない療法は怪しいと考えた方がよいと思います。

がんの治療を受ける際には、保険が効かない高額な治療に注意すべきということをぜひ知っておいてほしいです


以上、『毎日新聞医療プレミア』第10弾「自由診療のがん免疫療法は受けた方がいいのでしょうか」の概要のご紹介でした。 医療プレミアの本記事では、がん免疫療法の歴史や CAR-T 療法などの現在有効と認められている治療法についても勝俣先生が詳しくご説明されています。ぜひ本記事もご一読ください。

自由診療のがん免疫療法は受けた方がいいのでしょうか

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