勝俣範之先生 (日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授) が執筆した「あなたは無駄なオプションをつけていませんか 腫瘍マーカーによる検診」という記事が、毎日新聞の『医療プレミア』に掲載されました!
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Lumedia 顧問の勝俣先生が、「がんによくある誤解と迷信」をテーマに、医療プレミアでコラムを連載しています。このコラムは、「国民の2人に1人が罹患する」とされるがんの予防や治療に関して、適切な科学的根拠に基づいた正確な知識をお届けするものです。
今回は連載の第16弾として「検診で腫瘍マーカーを測定することに意味はあるのか?」といったことを中心に解説をしています。詳細が気になった方はぜひ医療プレミアの記事も覗いてみてください
※第15弾の「がんとお金の問題」をまだお読みでない方は、こちらをご覧ください。
腫瘍マーカー検査とは
腫瘍マーカーとは「血液中に存在する、がんに関連した物質」のことで、腫瘍マーカー検査ではこれらの物質が血液中にどれだけ存在するかを調べます。今日検査に利用されている腫瘍マーカーの種類は約40種類といわれています。
注意が必要なのは「腫瘍マーカーはがんの診断において、あくまで補助的なものである」ということです。つまり「腫瘍マーカーが高いからがんがある」「腫瘍マーカーが低いからがんは無い」とはならないのです。
がん検診に有用な腫瘍マーカーはない
以前「不要ながん検診を知っていますか?」でも解説していますが、がん検診の目的は「がん検診を受けた一般市民のがん死亡率の低下」です、したがって単にがんの発見率を向上刺せるだけではなく、がん死亡率を低下させなければ、がん検診が有効であるとはいえないのです。
そして、人間ドックなどがオプション検査として一般市民向けに提供している腫瘍マーカー検査が、実際に死亡率を低下させたとする科学的研究や文献は今日時点では存在しません。
腫瘍マーカー検査を有効に使うことができる場面
「腫瘍マーカーは補助的なもの」と先ほど述べましたが、腫瘍マーカー検査を有効に使える場面としては次のようなものがあります。
- すでに他の検査で肝臓がんの可能性が高いとされている患者における、AFP (腫瘍マーカー) の測定
- がんの手術後に経過観察をしている患者における、再発がないかチェックするための検査の一つとしての腫瘍マーカー測定
- がんに対する薬物療法が効いているか判定するために腫瘍マーカーを測定する場合
以上、『毎日新聞医療プレミア』第16弾「あなたは無駄なオプションをつけていませんか 腫瘍マーカーによる検診」の概要のご紹介でした。
医療プレミアの本記事では、腫瘍マーカー検査の詳細や、検診においてそれらを測定することの意味は乏しいことについて、勝俣先生が詳しく説明しています。ぜひ本記事もご一読ください。
あなたは無駄なオプションをつけていませんか 腫瘍マーカーによる検診
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