まとめ
- 川崎病は、小学校に入る前にお子さんの「約100人に1人」がかかる病気です。
- ①発熱 ②両目の充血 ③唇や舌が赤くなる ④身体の発疹 ⑤手のひらや足のうらが赤く腫れる ⑥首のリンパ節が腫れるといった症状がメインです。
- 専門の治療が必要な病気なので、怪しければ病院へ!
皆さんは川崎病って聞いたことありますか?日本人のお子さんに多く見られる病気なのですが、実は病院での専門の治療が必要な病気でもあるんです (参考文献 1)。
この記事では ①川崎病がどのくらいの頻度で起こる病気なのか ②川崎病の症状 ③なぜ川崎病は治療が必要なのか について紹介していきます。
この記事は医師指導のもとで、インターンの学生が記事のテーマ決めから記事化までを担当しました。 編集部の査読などのプロセスは、医師ライター作成の記事と同様の手順を踏んでいます。
小学校入学前に100人に1人がかかる病気「川崎病」
川崎病とは乳幼児に多く発症する血管の炎症による病気で、日本を含めた東アジアで患者数が多いとされています (参考文献 1,2) 。日本人の川崎富作先生が1967年に初めて報告したため「川崎病」と名付けられ、海外でも “Kawasaki disease” と呼ばれています。
日本では川崎病の患者さんについて全国的な調査が続けられていて、例年1万人を超える川崎病患者が報告されています。調査結果から考えると、おおよそ100人に1人のお子さんが、小学校の入学前に川崎病にかかる計算になります (参考文献 1, 3) 。
川崎病の症状
川崎病の症状には様々なものがありますが、主な症状は次の6つとされています (参考文献 1, 4, 5) 。
- 発熱 : 高い熱が続くことが多いです。
- 両目の充血 : 90%以上の患者さんで両方の目が充血します (結膜炎) 。発熱後数日以内に症状が出ることが多いです。
- 唇や舌の赤み : 唇がひび割れて赤くなったり、舌がぶつぶつと赤くなる「苺舌」になることがあります。
- 身体の発疹 : 身体の様々なところに発疹が出てきます。BCG注射 (はんこ注射) の痕が赤くなることもあります。
- 手や足が赤く腫れる : 手のひらや足の裏が赤くなったり、手足が硬く腫れたりします (硬性浮腫) 。川崎病が回復してくると、指の皮がボロボロとはがれることがあります。
- 首のリンパ節が腫れる : 2〜4人に1人くらいの割合で、首のリンパ節が腫れると言われています。
※症状のイメージ (看護 roo ! 看護師イラスト集 より転載 )
※実際の症状の画像は、参考文献 1 に掲載されているので、気になる方はそちらを参考にしてください!
これらの主要な6つの症状のうち、5つ以上が見られる場合に川崎病と診断されます 。5つの症状が揃わなくても各種検査の結果によって川崎病と診断されることもあります (参考文献 5) 。
しかし、この条件を満たすまでには数日かかることが多く、最初はいわゆる「風邪」と診断されるケースも多いです (参考文献 1) 。
川崎病は治療が必要な病気
川崎病には合併症を起こしたり、亡くなるリスクがあったりします (参考文献 1) 。特に心臓にある血管である「冠動脈」に異常をきたすことが多く、医師による診察が重要です。
川崎病の治療法についての研究が進んできたことにより、合併症や後遺症を生じたり、亡くなってしまう患者さんの割合は低くなりました。
治療法が進歩する以前は、患者さんの4人に1人 (25%) 程度に後遺症が生じていましたが、近年では100人に2~3人 (2~3%) 程度の割合まで減少しています (参考文献 1,3) 。
※合併症については別の記事で詳しく解説予定です。
亡くなる患者さんについても、以前は100〜200人に1人 (0.5~1%) 程度の割合でしたが、近年では2,500~10,000人に1人 (0.01~0.04%) 程度にまで減っています (参考文献 3) 。
川崎病の治療は一般的には入院が必要で、点滴や飲み薬による治療が行われます (参考文献 1) 。治療や注意深い観察が必要な病気なので、怪しいと思ったらお子さんを病院へ連れていきましょう!
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。