まとめ
- コレステロールの目標値は年齢や血圧などによって異なります。
- 若い人でもコレステロールが高くなる家族性コレステロール血症という病気があります。
- 他の病気が原因でコレステロールが高くなる事もあるので必ず病院へ行きましょう。
コレステロールとは?
コレステロールとはそもそも何でしょうか?コレステロールは人間の体の中にある脂質の一つで、細胞膜やホルモンなどを作る材料として存在します。
血液中には LDL (低比重リポタンパク質) コレステロールと HDL (高比重リポタンパク質) コレステロールが主に存在し、俗称として LDL コレステロールを悪玉コレステロール、HDL コレステロールを善玉コレステロールと呼びます (参考文献 1) 。
LDL コレステロールが高かったり HDL コレステロールが低かったりすると、心筋梗塞など動脈硬化による病気になりやすくなることが知られています (参考文献 2) 。
コレステロールの基準値
人間ドック学会の基準によると
- LDL コレステロールは 140 mg/dL 以上で要再検査、180 mg/dL 以上で要精密検査
- HDL コレステロールは 40 mg/dL 未満で要再検査、35 mg/dL 未満で要精密検査
です (参考文献 3) 。
LDL コレステロールが 140 mg/dL 以上もしくは HDL コレステロールが 40 mg/dL 未満であれば脂質異常症として診断されます。
総コレステロールは診断基準には含まれません (参考文献 4) 。中性脂肪に関しては後日記事化予定です。
おすすめの食事は?
このように、健康のためには LDL コレステロールを下げ、HDL コレステロールを増やすと良いことが分かりました。
食事で気をつけることとしては、コレステロール・飽和脂肪酸 (特にトランス脂肪酸) の摂取量を減らし、不飽和脂肪酸に置き換え、食物繊維をしっかりとりましょう。
具体的な食べ物についてのアドバイスです (参考文献 2) 。
- 肉の脂身や牛脂、ラード、バターなど動物性の脂、加工肉製品、乳類、臓物類、卵類を減らしましょう。
- 緑黄色野菜を含めた野菜、大豆、大豆製品などを積極的にとりましょう。
卵についてはこちらの記事を参照してください。
運動の重要性
食事のほかに運動も重要です。
有酸素運動は LDL コレステロールを低下させ、HDL コレステロールを増加させることが知られています (参考文献 2) 。
運動はコレステロールのバランスを改善させるだけでなく、高血圧症や糖尿病など動脈硬化に関係する病気の予防となり、心筋梗塞などにもなりにくくなることが知られているため、積極的に取り入れましょう (参考文献 5) 。
具体的な運動の内容についてはこちらの記事を参照してください。
薬を飲むべきなのは?
さて、どれぐらいの値であれば飲み薬が必要となるのでしょうか。
実はコレステロールの目標値は年齢、血圧、糖尿病の有無、過去の心筋梗塞の経験などによって変わってきます (参考文献 2) 。病院ではそれぞれについて吟味し、先述の食事と運動などの生活習慣の改善で目標に達しない場合に薬を処方します。まずは生活習慣を改善する努力が必要なのですね。
また、病院では他の病気が原因でコレステロールが増えていないかなどの検査も行います。病院で色々調べてもらう事のメリットはここにあります。
動脈硬化が心配な方へ
今の自分の動脈硬化のリスクがどの程度か知りたい場合はこちらのアプリを使うのもよいでしょう。
ほかにも、コレステロールの値には直接関係しませんが動脈硬化のリスクとなることから、高血圧症や糖尿病などについての治療や禁煙なども重要です (参考文献 2) 。
遺伝する病気
また、若くしてコレステロールが高くなる家族性高コレステロール血症という遺伝性の病気があります。この病気は、日本人において約300人に1人ほどの頻度で存在するとされており、放置すると若くして動脈硬化になってしまいます (参考文献 6) 。
家族性高コレステロール血症の患者さんの一部で、コレステロールの沈着した黄色種と呼ばれる黄色っぽい隆起が瞼や膝、肘などに見られることがあります。ただし、ほとんどの方は無症状ですので検査が必要です (参考文献 6) 。
異常を指摘されたら病院へ!
今回は健診でコレステロールの異常を指摘された場合について説明しました。
生活習慣で改善できる場合もありますが、コレステロールの目標値は個々によってさまざまで、薬剤が必要な事もありますので必ず病院を受診しましょう。
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。