まとめ
- ドライアイの身近な原因は「長時間パソコンやスマホの画面を見ること」、「コンタクトレンズを使用すること」です。
- 症状があればパソコンやスマホの画面を見る時間を減らし、人工涙液の目薬も検討してみましょう。
- ドライアイが改善せずにお困りの方は、原因を調べるため眼科受診を!
身近に潜むドライアイの原因
近年ドライアイという言葉をよく耳にするようになりましたが、みなさんはドライアイがどのようなものかご存知でしょうか?
ドライアイとは、目が乾燥して刺激を感じる状態を指します (参考文献1) 。
ドライアイの症状でお困りの方は多く、特に女性に多いことが知られています (参考文献1) 。
ドライアイを発症する身近な原因としては、
- ①パソコンやスマホ、タブレットなどでの作業時間が長いこと
- ②コンタクトレンズを着用していること
が挙げられます (参考文献1-3) 。
パソコンやスマホの画面を見ているとドライアイになりやすい
まず「①パソコンやスマホ、タブレットなどでの作業時間が長いこと」について、詳しく見てみましょう。
例えば、長野県小海町にお住まいの40歳以上の男女2,791名を対象にした2011年の調査では、
- パソコンを使用されない方
⇒ドライアイと診断された方の割合は男性では 1.8% 、女性では 7.1%
- パソコンを使用される方
⇒ドライアイと診断された方の割合は男性では 2.9% 、女性では 13.5%
という結果となり、パソコンの使用はドライアイに影響するかもしれないと報告されました (参考文献4) 。
「ドライアイがある方はパソコン作業を禁止します!」というわけにはいきませんが、意識的にまばたきを多くしたり、休憩中は液晶画面を見ないようにしたりして、なるべく目をいたわってあげるのが大事ですね (参考文献1) 。
コンタクトはドライアイの天敵
次に「②コンタクトレンズを着用していること」について確認してみましょう。
先ほどの長野県小海町の調査では、
- コンタクトを使わない方
⇒ドライアイと診断された方の割合は男性では 1.8% 、女性では 7.1%
- コンタクトを使う方
⇒ドライアイと診断された方の割合は男性では 6.6% 、女性では 27.5%
と報告されています (参考文献4) 。
ドライアイがある方はコンタクトを使わないのが一番安心ですが、コンタクトにするか眼鏡にするかは好みなどもあるので、「コンタクトレンズ禁止!」というのは難しいですよね。
この対策は個人差があって難しいのですが、例えば『ドライアイ診療ガイドライン』では、
「ドライアイのあるコンタクト着用者は人工涙液タイプの目薬を使ってみると良いかも」
「患者さんの好みに応じてレンズの素材やレンズケア材を変更してみると良いかも」
と提案しています (参考文献2) 。
人工涙液の目薬は安く市販されていますので(例:参天製薬『ソフトサンティア®』)、ドライアイの対策として手軽に始めやすいでしょう。
また、コンタクトレンズの素材にもいくつか種類があるので、自分に合った素材の製品を探してみるのも良いかもしれませんね。
ドライアイには意外な原因が隠れている!?
ここまでに紹介した対策でドライアイが改善すれば良いのですが、なかなかうまくいかないケースもあると思います。
特に、ドライアイの原因として、病気や薬の副作用が潜んでいる可能性があることに注意が必要です (参考文献1-3) 。
ドライアイを引き起こす可能性のある主な病気としては、
- シェーグレン症候群
- 甲状腺疾患
- 関節リウマチ
などが挙げられます。全身の病気が目に影響することもあるのですね。
次に、副作用としてドライアイを引き起こす可能性のある薬としては、
- 血圧を下げる薬 (利尿剤やβ遮断薬)
- アレルギーを抑える薬 (抗ヒスタミン剤)
- 睡眠薬/抗不安薬/抗うつ薬
などが含まれます。意外と身近な薬も多いのですね。
「ドライアイが良くならないなぁ」とお困りの方は、気軽に眼科を受診して相談してみてください。皆様の目の健康をお祈りしております!
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。