クランベリージュースを飲むと尿路感染症が予防できる!?

glass of cranberry juice with fresh berries on wooden table

まとめ

  • クランベリージュースやシロップでは明らかな予防効果は確認されていません。
  • 錠剤や粉末のクランベリーであれば再発を約半分に減らせるかもしれません。
  • 尿路感染症の再発予防としては、まず抗菌薬の服用と十分な水分摂取が大切です。

皆さんは繰り返す尿路感染症に悩んでいませんか?

半年に 2回 以上、または 1年 に 3回 以上の頻度で尿路感染症を繰り返していると再発性尿路感染症と診断されます (参考文献1) 。

もしかしたら、クランベリージュースを飲むと再発を予防できるかもしれない、という話を聞いたことのある人もいるかもしれません。ジュースを飲んで尿路感染症が予防できるならすごく嬉しい話ですよね。でも、これって本当なのでしょうか?

今回は、クランベリージュースが本当に尿路感染症の再発予防に効果があるのかを、科学的な研究をもとにわかりやすく解説します。

この記事を書いた学生の名前

Lumedia の中の学生

なぜクランベリージュースが再発予防に効くと言われるのか?

クランベリーには「プロアントシアニジン (PACs) 」という成分が含まれています。これには、尿道や膀胱の壁に細菌がくっつくのを防ぐ働きがあると言われています (参考文献1) 。細菌がくっつきにくくなれば、感染しにくくなるかもしれませんよね。

クランベリージュースが再発予防に効くというのは本当なのか?

実は、過去 12か月 以内に尿路感染症を 2回 以上繰り返していた女性を対象にクランベリージュースの効果を調べた研究があります。

この研究では、クランベリージュースやシロップを飲んだグループと、偽のジュース (プラセボと言います) を飲んだグループを比べた 6つ の研究の結果を合わせてクランベリージュースの効果を調べています。結果として、クランベリーを飲んだ人のほうが感染が少ない傾向はありましたが、「はっきり効果がある!」とは言えませんでした (参考文献2) 。

ところが、クランベリーの錠剤や粉末を使った別の 3つ の研究をまとめてみると、尿路感染症の症状が出る人は約半分に減ったという結果が出ました (参考文献2) 。

つまり、クランベリージュースでは明らかな効果は見られなかったものの、錠剤や粉末であれば効果が見られるかもしれない、ということになります。

論文を理解する上での注意点

この研究にはいくつか注意点があります。まず、今回は「治療」ではなく「予防」の話です。感染してしまったときにジュースを飲んでも、症状が治るわけではありません。そして、研究の対象は尿路に異常のない女性でした。男性にも効果があるかどうかや尿路に異常のある人 (複雑性尿路感染症) への効果はまだはっきりしていません。また、どれくらいの量を飲めば良いかは、まだよくわかっていません (参考文献2) 。

尿路感染症の再発予防方法

尿路感染症を防ぐにはクランベリーを摂取すること以外にも方法はあるのでしょうか。

①抗菌薬を服用する

医師が処方する抗菌薬を飲むことは再発を防ぐためにはとても大切です。過去 6か月 以内に 2回 以上もしくは 1年 以内に 3回 以上の尿路感染症を発症したことのある患者さん (12歳以上) において、抗菌薬を飲んだ人はプラセボを飲んだ人と比べると、感染のリスクが 0.15倍 になったという研究結果もあります (参考文献1,4) 。

②水を飲む

水をたくさん飲むことも大切です。1日 の水分摂取量が 1.5リットル 以下の人が追加で 1.5リットル の水を飲むようにしたところ、再発する回数が減ったという研究結果もあります。もともとあまり水分をとっていなかった人は、ペットボトル 3本分 の水を追加で飲むことを意識してみることも良いかもしれません (参考文献5) 。

③その他

ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌についても調べられましたが、これらは予防に効果があるとは言えないようです (参考文献1) 。

再発予防には薬と水分が大事

以上をまとめると、クランベリージュースやシロップを飲んでも、尿路感染症の再発をはっきりと防げるとは言えません。錠剤や粉末なら効果があるかもしれませんが、どれくらい飲めば良いのかはまだ研究中です。

再発予防をしたい人は、まず抗菌薬をしっかりと使うこと、そして水をたっぷり飲む (特に普段水分摂取量が少ない人) ことから意識してみるのはいかがでしょうか。

COI

本記事について、開示すべき COI はありません。