とびひ / 水いぼ / アタマジラミ/疥癬の時にプールに入れるの?皮膚科学会の解説を紹介

まとめ

  • 「とびひ」のときはプールに入るのはNG。
  • 「水いぼ」「アタマジラミ」「疥癬」は基本的にプールOK!
  • ただ、ビート板やタオル、水泳帽などの共用は避けましょう。

7月に入り、プールの授業が始まった学校も多いのではないでしょうか。暑い日が続く中でプールの授業を楽しみになさっているお子さんも多いでしょう。

一方で、心配なのはお子さんが皮膚の感染症にかかってしまった場合ですね。皮膚の感染症はプールの中で他人にうつしてしまうことがありますから、やはり不安ですね。

親御さんから「この子はプールに入れますか?」と質問を受けることがあります。

日本皮膚科学会が、子供に多い皮膚感染症について、それぞれプールに入ってもOKかどうかについての見解を発表しています (参考文献 1) 。

今回はお子さんがよくかかってしまう皮膚の感染症を順に見てみましょう!

この記事を書いた医師の名前

江畑 慧

Satoshi Ebata

①とびひ (伝染性膿痂疹) → プール NG 😨

とびびは、黄色ブドウ球菌などの細菌が起こす感染症で、伝染性膿痂疹 (でんせんせいのうかしん) とも呼ばれます。

黄色ブドウ球菌は水の中では生きられません。ですから、プールの水を介してとびひがうつる心配はありません。

こう聞くと安心してプールに入れそうな気がしますが、実は黄色ブドウ球菌は感染力が強いという特徴があります。

そのため、感染しているお子さんの肌に直接触れたり、タオルやビート板などを介したりして、周りの子にうつしてしまうおそれがあります (参考文献 1) 。

また、とびひにかかったお子さんがプールに入ると、傷口をかきむしって悪化してしまう可能性もあります。
ですから、とびひにかかった場合は周りに感染させないためにも、また悪化を防ぐためにも治るまでプールに入るのを我慢してもらう必要があります。

②みずいぼ (伝染性軟属腫) → プール OK !

みずいぼは伝染性軟属腫ウイルスが引き起こす皮膚の感染症です。

肌が直接触れ合ったり、ビート板やタオル、浮き輪などを介したりして周りの子にうつしてしまう可能性があります (参考文献 1) 。

ただ、普通にプールに入る程度では他の子に感染させる可能性が低いと考えられています。

そのため、日本皮膚科学会は「タオルなどを共用しないように気をつければプールに入ってOK」という見解を示しています。

更に気をつけるとすれば、ウォータープルーフのバンドエイドを感染した部位に貼っておくなどの対策も有効です (参考文献 2) 。

ただ、アメリカの疾病対策予防センター (Centers for Disease Control and Prevention: CDC) は、「皮膚にただれているところや裂けているところがあるときはプールに入ってはダメだよ」と警告しています (参考文献 3) 。

このような症状を合併している場合には、プールに入るのはやめておくのが無難でしょう。

③アタマジラミ (頭虱) → プール OK !

アタマジラミは髪の毛にしっかりしがみついています。なので、泳いでいる間に髪の毛から離れてプールの水の中に移動するとは考えにくく、水を介して周囲に感染させるリスクは低いです。

ですから、アタマジラミに感染していてもプールに入ってOKです。

ただ、アタマジラミはプールの水の塩素濃度では死にません。なので、タオルやヘアブラシ、水泳帽などを介して感染させてしまう可能性はあります。これらを貸し借りするのはやめておきましょう (参考文献 1) 。

④疥癬 → プール OK !

疥癬 (かいせん) はヒゼンダニという小さなダニによる感染症です (参考文献 4) 。

肌が直接触れ合ったり、衣類や寝床、タオルなどを介したりしてうつります。

しかし、水を介してうつることはないので、プールのみではうつらないとされます。すでに治療中であれば、プールに入るのは問題ありません。

ただし、疥癬には「角化型疥癬 (ノルウェー疥癬) 」とよばれる、非常に感染力の強い重症型があります。

医師から「角化型疥癬」と診断されている場合はそもそも外出を控える必要があります。

そのときは当然プールもお控え下さい (参考文献 1) 。

まとめ

以上のように、学校で多い皮膚感染症のうちとびびはプールNGで、水いぼやアタマジラミ、疥癬はプールOKとされています。

実際には学校ごとに基準があると思いますが、医学的にはこのように考えられているわけですね。

なお、通っている幼稚園や学校の基準が必要以上に厳しいこともあるでしょう。

学校の決まりに関して疑問に思うところがあれば、学校の先生に相談や質問をしてみるのも一案かもしれません。前もって病院の先生に医学的なポイントを確認しておくとスムーズかと思います。

なお、今回の記事と関連して「『手足口病』や『とびひ』などのときに学校へ行っていいの?」という記事も以前に書きましたので、良ければそちらもご覧ください。

周囲の子にうつさないように気をつけながら、可能な範囲でプールを楽しみましょう!

COI

本記事について、開示すべき COI はありません。