まとめ
- 科学的根拠な豊富なニキビ薬は「ピーリング薬」と「抗菌薬」の2種類
- ピーリング薬は毛穴をキレイにしてニキビを予防できる「治療の主役」
- 抗菌薬はニキビ菌を倒して赤ニキビを早く治す「サポート役」
皮膚科外来ではニキビに悩む患者さんを多くみかけます。そういう方々をターゲットとして「ニキビに効く!」「ニキビ肌予防に!」などと宣伝される商品がネット上でも薬局でも多く売られています。しかし、皮膚科医としてはおすすめできない、ニキビに効果があるといえない商品も多数あるのが現状です。
今回は十分な科学的根拠のあるニキビ治療薬とは何なのか?を皮膚科専門医が解説します。
ニキビのでき方にあわせた2種類の薬が存在
ニキビの治療をわかりやすく理解いただくために、まずは「そもそもニキビとはどのようにできるものなのか」を説明しましょう。ニキビには大きく2つのステップが存在します。
- ステップ1:毛穴が皮脂や汚れ、皮膚の新陳代謝の異常などでつまる。
- ステップ2:毛穴でニキビ(アクネ)菌が炎症を起こす。
上の画像の通り、ステップ1だけだと「白ニキビ」、ステップ2に進むと「赤ニキビ」ですね。ニキビの薬は、このどちらかのステップを防ぐことでニキビを治してくれます。
したがって、ざっくりと言ってしまえば、ニキビ治療薬は大きく2種類に分類可能です。具体的には、毛穴の詰まりを改善する「ピーリング薬」と、アクネ菌などの雑菌を倒す「抗菌薬」 (通称:抗生物質) がよく用いられます。
では、具体的にどのような製品が「ピーリング薬」「抗菌薬」にあたるのでしょうか?ここからは、日本皮膚科学会『ニキビ治療ガイドライン』で最高評価を受けている成分・製品についてそれぞれ説明します。
ニキビの治療薬詳細①ピーリング薬
具体的なピーリング薬の種類と効果
まず、毛穴の詰まりを防ぎ、改善するピーリング薬には以下の製品があります。
- 過酸化ベンゾイル (ベピオ®ゲル)
- アダパレン (ディフェリン®ゲル)
毛穴がつまらないことにはニキビはできません。したがって、これらはニキビの発生を根本から抑えてくれるお薬です。さらに、ニキビの再発予防にも使用することができます。少し名前が覚えづらいですが、この2つを混ぜた、
- エピデュオ®ゲル
という商品も販売されており、こちらは効果としては最強です。
これらのピーリング薬はいずれも長期間継続するほどに本領を発揮する薬で、徐々にニキビができにくくなります。過去に世界中の3,855人のニキビ患者さんを対象とした研究によると、治療を開始してから3ヶ月後のニキビ減少率は、それぞれ、
- ベピオ®ゲル:46%減少
- ディフェリン®ゲル:47%減少
- エピデュオ®ゲル:59%減少
という結果でした。
ちなみに、ベピオ®ゲルは、毛穴づまり解消効果だけではなく、ニキビ菌抑制効果も付与されているので「抗菌薬」的な要素も兼ね備えているという特徴があります。
ニキビの治療薬詳細②抗菌薬
具体的な抗菌薬の種類と効果
続いて、炎症の原因になるニキビ (アクネ) 菌に効果を発揮する抗菌薬には、以下の製品が存在します。
塗る抗菌薬
- クリンダマイシン (ダラシン®ゲル)
- ナジフロキサシン (アクアチム®クリーム)
- オゼノキサシン (ゼビアックス®クリーム)
飲む抗菌薬
- ドキシサイクリン (ビブラマイシン®)
抗菌薬はニキビの中でも赤ニキビと呼ばれる赤く腫れたニキビに効果を示します。毛穴づまりだけの白ニキビには効かないことには注意が必要です。つまり、抗菌薬はピーリング薬とは少し異なり、腫れのある赤ニキビの症状を抑えるために短期間のみ使うお薬です。
抗菌薬の正しい使い方
腫れているニキビはあるものの、症状がそこまで重くない場合 (具体的には顔の半分にある赤ニキビが5個以下) には、塗る抗菌薬での対応で十分です。
逆に、症状が重め (目安として、顔の片側に赤ニキビが6個以上ある) のときは、飲む抗菌薬としてビブラマイシン®などを検討することがあります。
いずれの場合でも、抗菌薬は単独で使うのではなく、ピーリング薬と併用するのが基本です。
くれぐれも、家の引き出しの中などに余っていた「抗菌薬だったような気がする」薬や軟膏を適当に使う、ということはせず、迷ったら皮膚科医にご相談ください。
ニキビの種類・症状にあわせた使い方を!
以上のように、ニキビの治療薬にはピーリング薬と抗菌薬の2種類があります。ニキビのタイプや症状の重さに応じて、うまく使い分けたり併用したりするのがポイントです。良い薬がたくさんあるので、お困りの方は皮膚科を受診してくださいね。
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本記事について、開示すべき COI はありません。