Lumedia 顧問の勝俣範之先生 (日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授) が執筆した「賢い医療情報の探し方~『3た論法』って知ってますか~」という記事が、毎日新聞の『医療プレミア』に第5弾として掲載されました!
医療プレミアは、「長く健やかに暮らす」ことをめざして、健康の役立つトピックを分かりやすく伝えるメディアです。
Lumedia 顧問を務める勝俣教授が「がんによくある誤解と迷信」というコラムを、Lumedia 出張版として同サイト内で執筆しております。
「国民の2人に1人が罹患する」とされるがんの予防や治療に関して、適切な科学的根拠に基づいた正確な知識をお届けしていきますね。
※記事は有料配信ですが、会員登録後最初の1ヶ月は無料で読めるそうです。
※第4弾の「賢い医療情報の探し方~科学的に効果があるとは?~」をまだお読みでない方は、こちらをご覧ください。
「3た論法」をご存知ですか?
「3た論法」という言葉を聞いた事がありますか?
健康に関する情報を調べていると、〇人中に使ったら、〇人が良くなった、だから、効果があった、というものを見かけたことがおありでしょう。
この「使った」「治った」「だから効いた」の論法は、「3た論法」といいます。
一見しますと、もっともらしく思われるかもしれませんが、科学的には間違った考え方なのです。
例えば、「Aさんがお金が貯まる金色のお財布を買った。すると、お金が貯まった。このお財布を持てばお金持ちになれる。」という情報があったとします。
少し冷静になってみれば、この話の背景には
- 「Aさんがお財布を買った後にたまたま収入を得る機会があった」
- 「金色のお財布を買うことができるAさんはもともとお金持ちであった」
- 「お金が貯まったといっているものの、本当は支出もかなり多く、実際に手元に残ったお金は僅かである」
など、様々な可能性が考えられますね。
「3た論法」のデータには、このようにさまざまな「エラー」や「バイアス」が入ってきます。
「バイアス」とは、真実をゆがめて見せるもの、偏り、などと言います。医学情報には、こうした「バイアス」がたくさん含まれます。
では、さまざまなバイアスを極力減らし、治療法の有効性をきちんと証明するためにはどうすればよいでしょうか?
これまでの記事を読んできた読者の皆さんであればおわかりと思いますが、治療法をランダムに、従来からの治療(もしくはプラセボ)と、新しく検証しようとする治療法に振り分けて、その効果を検証する研究、すなわち、ランダム化比較試験 をすればよいのです。
ランダム化比較試験 についてより詳しくはこちらのページをご覧ください。
「使った」「治った」「だから効いた」という「3た論法」は、単純でわかりやすいですが、必ずしも正しいとは限りません。
今回の記事の中ではたとえ話と具体的な事例の2つを用いて分かりやすく「3た論法」の危うさについて解説しています。
ご興味を持たれた方は是非ご覧ください ↓ 。
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※出張版の本記事も、普段の記事と同様に Lumedia 編集部でのチェックを経て正確性を担保しておりますのでご安心ください。査読作業は北里大学医学部附属新世紀医療開発センター臨床腫瘍学教授の佐々木治一郎先生にお願いいたしました。今後 Lumedia 本体でも、佐々木先生らにご助力いただいてがんや医療情報などに関する記事を更新していくつもりです。
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