まとめ
- 花粉症を持っている人の中で、3人に1人以上は、肌が赤くなる、かゆみが出るなどの症状が出ると言われています。
- 花粉症をもつ子どもたちは、大人よりも皮膚のトラブルが起こりやすいです。
- 顔や首に症状が出ることが多いですが、全身の皮膚で症状が出ることもあります。
花粉症では、「鼻の症状」や「目の症状」が出ることが有名です。それに加えて、花粉症では「皮膚の症状」も出やすいのですが、このことを知らない人もいらっしゃるのではないでしょうか?今回の記事では、花粉のせいで生じる皮膚トラブルについて、皮膚科専門医が詳しく解説します。
花粉による皮膚の症状の原因はアレルギー反応
花粉による皮膚のトラブルは、花粉が皮膚に触れることによって起きるアレルギー反応です。これは、花粉だけでなく、ホコリやタバコの煙、金属など他の物質が皮膚にくっついた場合でも起こります (参考文献 1) 。主に顔や首、手など皮膚が服からはみだしている部分に、赤みやかゆみ、ブツブツなどがみられます。治療法としては、ステロイドを使った薬を塗ることが一般的で、時には保湿剤を使うこともあります。
3人に1人は皮膚の症状が出る
それでは、花粉症による皮膚の症状はどの程度多いものなのでしょうか? 2003年 4月 に行われた研究では、耳鼻科を受診した278人のスギ花粉症患者さんが調査対象となりました。アンケートの結果、278人中の98人、つまり 35.3% の人が「皮膚の症状がある」と答えました (参考文献 2)。つまり、3人に1人以上の割合なので、決して珍しい症状ではないと言えるでしょう。
症状が出た部位を調べてみると、「顔・首周り」に皮膚症状が出た人が最も多く、全体の 19.4% を占めていました。さらに、「身体全体に皮膚症状が出た」という人も 7.9% いました。顔や首だけではなく、服の下に隠れている部分まで肌が赤くなったりかゆくなったりする人もいるのですね。
元々アトピー性皮膚炎の人は花粉の時期に症状がひどくなることもあるそうです (参考文献 3) から、全身がかゆくなる人については、アトピー性皮膚炎の症状が強くなっている可能性もあるかもしれません。
また、花粉症による皮膚の症状で特に注意が必要なのはお子さんです。 2009年に行われた調査では、耳鼻科を受診した花粉症の大人42人と子供42人を比べたところ、「皮膚の症状がある」と答えた患者さんの割合が、大人よりも子供ではずっと高いことが確認されました (参考文献 4)。
子供の場合、目の症状に続いて皮膚の症状が多く報告されており、鼻の各症状を上回る頻度でした。もし花粉の時期にお子さんの肌が荒れているようでしたら、「もしかして花粉のせいかも?」ということで、病院で相談してみるのが良いでしょう。
良い対策は花粉が体につく量を減らすこと
皮膚の問題だけでなく、花粉症の対策としては、花粉が体につくのを減らすことが大切です。具体的には以下のような対策があります (参考文献 5) 。
- マスクやメガネをつける
- 花粉がつきにくい服を選ぶ(ウール素材のアウターは避ける)
- 外から帰ったら花粉を払って家の中に入れないように気をつける
- 手洗いやうがい、顔を洗う習慣を身につける
- 室内の掃除や換気をする
- 花粉が多い時間帯に外出するのを避ける
花粉症で悩んでいる人は、薬だけでなく、こうした地道な対策も心がけると良いですよ。
今回の記事では、花粉症の皮膚症状について説明いたしました。意外と多いトラブルですので、お困りの際は症状が悪化する前に医師に相談してくださいね。
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