まとめ
- マダニは 重症熱性血小板減少症候群 など感染症の原因になり、命を落とすことも!
- ディート等が配合された虫よけ剤を使いましょう。
- 肌の露出が少ない服装&自宅に持ち込まないための対策を!
マダニは草むらや藪 (やぶ) などに生息し、ヒトの体や衣服に付着して血を吸すダニの一種です(参考文献1)。大人のマダニは普段は 2-8 mm 程度ですが、ヒトなどから血を吸った後には胴体部がふくれて全長 10-20 mm に達することもあります。厄介なのは、マダニの体内にウイルスなどがいると、刺されたヒトが感染症をうつされてしまうケースがあることです。
マダニによる感染症としては、
- 日本紅斑熱;西日本で特に多く、年間300例程度。
- 重症熱性血小板減少症候群;2013年以降に西日本を中心に報告され、年間100例程度で死亡率が高い。
- ライム病;標高1000m以上の山岳地帯で多く、年間10-20例程度。
- ダニ媒介性脳炎;2016年以降に北海道で報告が続いており、年間1,2例程度。
などがあります (参考文献 1,2) 。マダニに刺されて命を落とす可能性があるのは怖いですよね……
今回の記事では、マダニから身を守るための対策を簡単に解説します!
マダニ対策
マダニへの対策は大きく次の3種類に分けられます。
- 虫よけ剤を活用する。
- 外出時の服装を工夫する。
- 自宅に持ち込まないように気をつける。
順に説明していきます。
①虫よけ剤を活用する。
2013年からマダニに対して有効な虫よけ剤が認可されています (参考文献 3) 。市販されているものとしては『ディート』もしくは『イカリジン』という有効成分を含むものです。特に『ディート30%配合』か『イカリジン15%配合』と表示されている製品なら、8時間近く効果が続くので安心です。
詳細は以前に書いた『虫よけ剤の選び方』という記事をご覧ください。
ただし、虫よけ剤を使えばマダニの付着数は減りますが、マダニによる被害を 100% 防ぐものではありません。したがって、服装などと上手く組み合わせて万全の対策を取る必要があります。
②外出時の服装を工夫する。
マダニが肌にくっつかないようにするためには、肌の露出をなるべく少なくすることがポイントです (参考文献 1,3) 。特に気をつけたいのは腕や足、首ですね。
具体的には、
- 長袖シャツの袖口 (そでぐち) を、軍手や手袋の中に入れる。
- 長袖シャツの裾 (すそ) を、ズボンの中に入れる。
- 長ズボンの裾 (すそ) に靴下をかぶせたり、裾を長靴の中に入れたりする。
- 首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着る。
- 帽子をかぶる。
- マダニがくっついた時に気が付きやすいよう、明るい色の服を着る。
などの対策が有効です。
※服装の具体的なイメージはこちら (参考文献 3) をご覧ください。
「暑いから半袖・半ズボンで草むらに入っちゃえ!靴もサンダルでいいや!」は NG ですよ!
虫よけの加工がされた服を選ぶ
アメリカ疾病予防管理センターは「ペルメトリン加工の服装」の使用も推奨しています。
ペルメトリンは、ダニや蚊などに対しては毒になりますが、人での使用は安全と考えられている成分です (参考文献 5) 。殺虫剤であるペルメトリンを生地につけておけば「着るだけで虫よけ」が可能な服ができあがるわけですね。
実際に、世界中の虫から身を守らなければならない米軍は、ペルメトリン加工の軍服を採用しています。一般の方向けの製品を作っているメーカーとしては『インセクトシールド』が比較的有名です。
プラスアルファとして、こうした製品を購入するのもアリでしょう。
③自宅に持ち込まないように気をつける。
マダニは色々な感染症の原因になると紹介しましたが、そんなマダニが家の中に入ってしまうと家族にも迷惑ですよね。マダニの家への侵入を防ぐために、屋外で活動した後には次のような対策を意識しましょう (参考文献 1,3) 。
- 上着や作業着を家の中に持ち込まない。
- 服に付いたダニをガムテープ等で取り除く。
- 入浴してダニが付いていないかをチェック。
- 特に、脇の下、足の付け根、手首、膝裏、胸の下、髪の毛の中を重点的に確認。
なお、もし吸血中のダニに気がついても無理に取り除こうとはせず、皮膚科などの医療機関を受診して下さい。
以上、マダニから身を守るためのテクニックを紹介しました。
マダニに刺されて怖い感染症にかかることを避けるために、草むらなどに入る際には万全の対策を行ってくださいね!
COI
本記事について開示すべき COI はありません。