まとめ
- ものもらいは麦粒腫、霰粒腫の2つに大きく分けられます。
- 痛みを伴う赤いものもらいは麦粒腫、痛みを伴わない赤みの少ないものもらいは霰粒腫であることが多いです。
- ものもらいは再発しやすく、中には ” がん ” などとの区別が難しいものもあり注意が必要です。
一度はものもらいを経験したことがある人は多いのではないでしょうか?身近な目の病気であるものもらいの原因や対処方法、眼科を受診する目安など眼科専門医が解説します!
ものもらいって何?
まぶたには、涙や汗を出す小さな穴である分泌腺があります。それが細菌に感染したり、詰まったりすると赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。これを「ものもらい」と俗に呼びます。地域によって「めばちこ」「めいぼ」と呼ばれることもあります ( 参考文献1 ) 。
ものもらいは大きく2つに分けられます。
まつ毛の毛根や、涙の成分を分泌するマイボーム腺、睫毛の根本にある皮脂腺 ( ツァイス腺 ) や汗腺 ( モル腺 ) に細菌が感染して発症するものもらいを麦粒腫と言います。
マイボーム腺などが詰まって発症するものもらいを霰粒腫 ( さんりゅうしゅ ) と言います ( 参考文献2 ) 。
麦粒腫をもっと詳しく!
麦粒腫はできる位置によって外麦粒腫と内麦粒腫の2つに分けることができます。
まつ毛の毛根や、涙の成分を分泌するマイボーム腺に細菌が感染して発症するものもらいを外麦粒腫と言います。一方で、睫毛の根本にある皮脂腺 ( ツァイス腺 ) や汗腺 ( モル腺 ) に感染が生じた場合を内麦粒腫と言います。多くの場合、黄色ブドウ球菌という細菌が関わっています ( 参考文献2 ) 。
また、酒さや脂漏性皮膚炎など、まぶたに影響する皮膚疾患があると麦粒腫になりやすい傾向があったり、アイメイクが原因で麦粒腫を発症したりすることもあります。
麦粒腫ではまぶたの一部が赤くはれて、痛みや痒みを伴います。さらに重症になると、赤みや腫れ、痛みが強くなります。中には腫れた部分から膿が出てくることがありますが、膿が出れば症状は良くなっていきます ( 参考文献1 ) 。多くは特別な治療をしなくても自然に治りますが、再発しやすいことも知られています ( 参考文献3 ) 。
麦粒腫に対しては、海外では膿を出すために5-10分間患部に温湿布を1日3-5回貼り、アイメイクをしていればアイメイクをやめてもらうことを推奨しています。それ以外では抗生物質や抗炎症作用のある薬 ( ステロイド ) を使うこともあります。ただ、実はこれらの治療薬で麦粒腫が治りやすくなると明確に示した研究はなく、その効果ははっきりしません。
しかし、酒さとよばれる皮膚が赤くなり吹き出物ができてしまうような皮膚疾患が原因であったり、膿が出にくかったりする方であれば、抗生物質などの治療薬を使用すると効果があるかもしれません ( 参考文献2 ) 。
霰粒腫をもっと詳しく!
マイボーム腺などが詰まって発症するものもらいを霰粒腫と言います。酒さなどがあると、このマイボーム腺が詰まりやすくなります。霰粒腫は麦粒腫と見た目は似ていますが、痛みを伴うことが少なく、赤みや腫れが軽い傾向にあります。
霰粒腫が小さい場合は数日から数週間かけて、特に何もしなくても治ることが多いです。
大きい場合は、アメリカでは温湿布を1日4回、約15分間顔に当てて排膿することを推奨しています。なかなか治らない場合は、抗炎症作用のある薬 ( ステロイド ) を注射したり、外科的に切り出す手術をしたりすることもあります ( 参考文献2 ) 。
再発を繰り返す場合、それが特に片眼でばかり再発するケースや高齢者の方で目立つケースは、”がん”など他の病気という可能性もあるため注意が必要です ( 参考文献2,4 ) 。
ものもらいは種類によって原因や症状、対処法が大きく異なります。自然に治ることもありますが、数日経っても治らない、あるいは痛みなどの症状が強い場合はぜひ眼科を受診してください!
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