物がゆがんで見えたり、見えづらくなったら『加齢黄斑変性』かも?症状や検査について眼科医が解説

カテゴリ:眼科

公開日:2022/11/17/

最終更新日:2022/11/16

まとめ

  • 加齢黄斑変性とは、老化に伴って、目の中の網膜の中心 (黄斑部) に出血やむくみをきたし、視力が低下する病気です。
  • 加齢黄斑変性を早期発見するには、物がゆがんで見える、視力が下がる、色が分からなくなるなどの症状を片目ずつ確認する。
  • アムスラーチャートなどを使って定期的なチェックを行い、加齢黄斑変性の早期発見をしましょう。

最近、「年齢を重ねるにつれて物が見づらくなった、ゆがんで見えるようになった」と感じることはありませんか?
実はただの老眼ではなく、「加齢黄斑変性」という病気かもしれません。

今回は、加齢黄斑変性とはどのような病気か、チェックする方法はあるのか、について解説していきます!

この記事を書いた医師

ドクターK

Doctor K

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加齢黄斑変性とは

加齢黄斑変性とは、老化に伴って、目の中の網膜の中心 (黄斑部) に出血やむくみをきたし、視力が低下する病気です (参考文献 1) 。

日本眼科医会HPより引用 (参考文献 1)

2018年の報告によると、日本国内で「視覚(視力/視野など)に異常あり」と新規に診断された方々 (合計12505人) のうち、『加齢黄斑変性』を発症した方は人で全体の 8% を占めており、なんと視覚障害の全原因中で第4位 (1位は緑内障、2位は網膜色素変性症、3位は糖尿病網膜症) に入りました (参考文献2) 。

福岡県の久山町で1998年から2007年にかけて継続して行われた研究によると、参加者14000名のうち 10% の方が早期段階の加齢黄斑変性を発症し、この傾向は特に男性/高齢者/喫煙者で強くみられました (参考文献 3) 。
加齢黄斑変性って意外と多い身近な病気なんだ!」と驚かれた感じる方も多いのではないでしょうか。

※早期加齢黄斑変性は、目の奥にある網膜に老廃物がたまったり、細胞の機能が障害し始めた状態で、進行すると網膜がはがれたり、それら細胞自体が死滅したりする後期加齢黄斑変性の状態となります (参考文献 3) 。

加齢黄斑変性の症状は?

加齢黄斑変性の症状は大きく3つあります (参考文献 3) 。

①ものがゆがんで見える

網膜の下に水がたまると網膜がデコボコになってしまいます。加齢黄斑変性では網膜の中心部分が傷つくので、視界の真ん中のあたりがゆがんで見えるようになります。

②視力が下がる、中心部分が見えづらくなる

網膜の中心である黄斑部が障害を受けると、真ん中が見えづらくなります。この黄斑部は視力に重要な部位なので、治療を受けないと視力が 0.1 以下にまで徐々に下がることが多いです。

③色が分からなくなる

物がゆがんで見えたり、視力が下がってくる症状が出て、さらに症状が進行すると、色が分からなくなります。

加齢黄斑変性の診断に必要な検査は?

加齢黄斑変性の診断には、いくつかの検査が行われます (参考文献 4) 。

①視力検査

まず、視力の低下を確認するのが『視力検査』です。
これは皆さんも学校で受けたことがあると思いますが、アルファベットのCに似た『ランドルト環』という記号を、どの程度の大きさまで見えるのかを確認する検査です。

ランドルト環

②アムスラーチャート

続いて、視野がゆがんでいないのかを確認するのが『アムスラーチャート』です。
これは非常に手軽な検査で、自宅でも簡単に行うことができます。両目で同時に見ると異常を見落とすおそれがあるので、片目ずつ行いましょう。こちら↓の記事で今すぐ実際に検査を受けられるので、ぜひやってみてくださいね。

視力検査やアムスラー試験以外にも、眼底検査や造影検査、光干渉断層計 (optical coherence tomography : OCT) という検査が行われることもあります。これらの検査はでは出来ないので、眼科で総合的に判断してもらいましょう。

加齢黄斑変性は治療できるの?

治療法のあるタイプとないタイプに分かれる

加齢黄斑変性は、『萎縮型』と『滲出型』の2種類に分かれます。 
このうち、網膜の一部が萎縮してしまう『萎縮型』の加齢黄斑変性については、残念ながら現時点で治療法は存在しません。 

一方、新しく出来た異常な血管が網膜での出血やむくみを招く『滲出型』の加齢黄斑変性の方は、いくつかの治療法があります。
主な治療法は、目に繰り返し注射をする薬物療法です。
異常な血管の増殖には血管内皮細胞増殖因子 (vascular endothelial growth factor : VEGF) という成分が関与しているのですが、そのVEGFを抑える成分を目に直接投与するのです。
注射だけではなくレーザー治療を併用するケースなどもあります。

このように、加齢黄斑変性が治療できるかどうかは、患者さんの病気のタイプによって異なります。
まずは、正確に診断してもらうことが大事です。治療を行う場合の副作用もありますので、実際の治療方針については眼科でご確認下さい (参考文献 4) 。

早期発見のため、定期的なチェックを心がけましょう!

加齢黄斑変性は高齢化に伴って患者数が増えていく可能性があります。早期発見のため、物がゆがんで見えたり、視力が下がったりしていないか定期的にチェックをしておきましょう。

COI

本記事について、開示すべき COI はありません。