まとめ
- 緑内障は、目と脳をつなぐ神経 (視神経) が障害され、少しずつ視野が欠けてくる病気です。
- 緑内障の診断には眼圧検査、眼底検査、視野検査の3つの検査が必要です。
- 緑内障の治療で十分なエビデンスがあるものは眼圧を下げる治療です。
昨年、「緑内障」に関するテレビCMや新聞広告が流れました (参考文献 1) 。見かけたことがあるという方も多いのではないでしょうか。でも、自分は大丈夫と思っていませんか?実は気付かないうちに、「緑内障」になっているかもしれませんよ。
今回は、緑内障はどのような病気か、チェックする方法はあるのか、について解説していきます!
緑内障ってどんな病気?
緑内障は一言で言うと、目と脳をつなぐ神経 (視神経) が障害され、少しずつ視野が欠けてくる病気です (参考文献 2) 。
2000年-2002年に日本で行われた調査では、 40歳以上の日本人 100人に 5人が緑内障と診断されました。そして、緑内障は年齢とともにその割合は増えていきます (参考文献 3) 。そのうえ、緑内障は視覚障害になってしまう原因すべての中で第1位の原因でした (参考文献 4) 。
皆さんの想像よりも意外と身近な病気ではありませんか?
緑内障の症状は?
40歳以上になると知り合いの一人や二人は患っていてもおかしくないくらいの緑内障ですが、自分で気付くことはできるのでしょうか。
実は、日本人に多い緑内障は自覚症状が少ないことが知られています (参考文献 2,3) 。
緑内障が進行すると視野が欠けたり視力が下がったりするためそこで気付くこともありますが、今皆さんが自分の視野は正常だと思っていたとしても、必ずしも緑内障でないとは言えないのです。
自宅でできる緑内障チェック
ここまで読んで、自分や家族が緑内障だったらどうしよう…と思った方もいるかもしれません。そんな場合は、アムスラーチャートがおすすめです。
アムスラーチャートは以前、加齢黄斑変性の記事で紹介しました検査ですが、緑内障チェックにも有用です。非常に手軽な検査で、自宅でも簡単に行うことができますよ。注意点としては、両目で同時に見ると異常を見落とすおそれがあるので、片目ずつ行いましょう。
こちら↓の記事で今すぐ実際に検査を受けられるので、ぜひやってみてくださいね。このアムスラーチャートで視野が欠けている部分があれば緑内障の検査を受けると良いでしょう。
緑内障の診断に必要な検査は?
ではもしアムスラーチャートで視野の欠けに気付いて病院を受診したとしたら、どんな検査を受けることになるのでしょうか。
緑内障の診断のためには、
- 眼圧検査
- 眼底検査 (目の奥の検査)
- 視野検査
の 3つの検査が必要です (参考文献 2) 。それぞれどのような検査なのか、見ていきましょう。
①眼圧検査
眼圧は目の硬さのことで、空気や器械を当てることで測定します (参考文献 2,5) 。眼科にかかった時に、目にプシュッと空気を当てられた記憶のある人もいるのではないでしょうか。
眼圧の正常範囲は 10-20 (あるいは 21) mmHg とされていて、この眼圧が高くなると視神経に負担がかかってしまいます (参考文献 2,5) 。
緑内障の治療では眼圧を下げることを目指すので、眼圧測定は緑内障の診断だけでなく治療においても行われる重要な検査なのです。
②眼底検査
緑内障では視神経が障害されることで、視野に異常が出てきます。眼底検査では、目に付いている神経の色や形を確認することで、緑内障の進行具合などを予想します (参考文献 2) 。
最近では、光干渉断層計 (OCT) などの、より簡便にこの視神経の状態を確認できる機械が多くの眼科病院に置かれるようになっています。皆さんのかかりつけの眼科でもおいてあるかもしれませんね。
③視野検査
眼圧検査や眼底検査で緑内障が疑わしい場合に、視野検査を行います。視野検査では、明るさや大きさが変わる視標を調節し、見えている範囲を測定します。この視野検査の結果をもとに、緑内障の診断、進行具合を判定します。
緑内障は治るの?その治療方法は
緑内障で障害された視野は、現在の医学では回復させることができません。また、放っておけばさらに視野は欠けていってしまいます。よって、緑内障を発症させない、進行させないことが重要となります。
現在、緑内障の治療で十分なエビデンスがあるのは、目薬や手術などで眼圧を下げることです (参考文献 5) 。一方で、残念ながら、漢方薬やサプリメントなどで緑内障を治療できる証拠は今のところありません。目薬や手術についても、それぞれの人の状況によって最適な治療は異なりますので眼科医とよく相談するようにしましょう。
早期発見のため、定期的なチェックを心がけましょう!
最初にも書きましたように、緑内障は高齢化に伴って患者数が増えます。特に、40歳以上の方は 20人に 1人が緑内障とされています。そして、早期に発見して進行を抑えることが重要ですが、自覚症状がないこともあるとお伝えしました。
緑内障を見逃さないためにも、定期的に眼科を受診しましょう。
COI
本記事について、開示すべきCOIはありません。