まとめ
- 手足口病 / とびひ / 水いぼなどは、ひどくなければ学校へ行って OK
- はしか / 風疹 / 水ぼうそうは、一定期間のお休みが必要。
- 判断に迷うようであれば病院で相談を。
小さいお子さんでは、皮膚の症状がある感染症が多いですね。親御さんからよく受ける質問の一つが、「保育園・幼稚園・学校へ行っていいのか?」というものです。この記事ではそんな疑問に関して、皮膚科専門医と一緒に考えていきます!
出席してもいい感染症は?
「皮膚の症状がある感染症にかかったお子さんを、保育園・幼稚園・学校に行かせてもよいか?」という疑問に関して、その分かりやすい目安を、日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会・日本小児感染症学会の4団体が共同で発表しています (参考文献 1) 。病気別に見てみましょう。
①手足口病⇒出席 OK !
手足口病のお子さんは、症状がひどくなければ学校を休む必要はありません (参考文献 1) !そもそも、手足口病の原因ウイルスは2-4週間程度、大便の中から出続けます (参考文献 2) 。この期間ずっと学校を休むのは現実的ではありませんよね。なので、手洗いなどをしっかりすれば学校は休まなくて良いという判断になっています。
ただ、「口の中の水ぶくれのせいで十分に食事をとれない」「発熱やだるさ、下痢、頭痛がひどい」などの場合には無理せずに学校を休みましょう。
②りんご病 (伝染性紅斑) ⇒出席 OK !
こちらも学校へ行ってOKです (参考文献 1) !顔が赤くなる、腕や太もも、体に発疹がでるなどの症状がありますが、症状が出て病気に気がついた頃には、すでに感染力は低いと考えられています。発熱や関節痛などがひどい場合は別ですが、本人が元気ならば学校を休む必要はありません。
③アタマジラミ (頭虱) ⇒出席 OK !
こちらも学校に行くのはOKです (参考文献 1) 。ただし集団感染しやすいので、みんなで一斉に治療を開始することが大事です。アタマジラミは不潔だから感染したわけではありません。感染した子に対しての差別やいじめが起こらないように注意しましょう。
④水いぼ (伝染性軟属腫) ⇒出席 OK !
今後「学校感染症とプール」というテーマの記事で詳しく扱う予定ですが、プールの授業ではビート板や浮き輪などの共用を控える配慮が必要です (参考文献 1) 。ただ、別にプールに入ってはいけないわけではなく、学校を休む必要もないとされます。
⑤とびひ (伝染性膿痂疹) ⇒出席 OK !
とびひ (伝染性膿痂疹) では、「水ぶくれ」や「ただれ」をいじると、その中にいる細菌が広がって症状が広がることがあります。特に鼻周囲をいじらないように気をつけねばなりません。とはいえ、患部を治療してガーゼなどで覆っていれば、別に学校を休む必要はありません (参考文献 1) 。
ただし、症状の範囲が広かったり、全身の調子が悪かったりする場合には学校を休むべきケースもあるので、そのようなときは病院でよく相談しましょう。
学校を休まなければならない感染症は?
このように、手足口病 / りんご病 / アタマジラミ / 水いぼ / とびひについては、いずれも学校へ行って大丈夫です。逆に、皮膚の症状がある感染症の中で、学校を休まなければならない病気はあるのでしょうか?
休まなければならない感染症の代表例としては、はしか (麻疹) / 風疹 / 水ぼうそう (水痘) が挙げられます (参考文献 2) 。出席できない期間は、それぞれ下記のとおりです。
はしか | 熱が下がってから3日経つまで |
風疹 | 皮膚の症状がなくなるまで |
水ぼうそう | 皮膚の症状が全てかさぶたになるまで |
これら3つとも、周囲へとうつしやすいウイルス感染症なので、必要な期間は外出を控えないといけません。これらの病気の場合は受診の際、皮膚科よりは小児科にかかることが多いでしょう。
お熱が出て皮膚にブツブツを生じる病気は、はしか、風疹、水ぼうそう以外にも川崎病や溶連菌感染症などもあって、判断が難しいです。発熱と発疹 (皮膚の症状) がそろっている時は、お早めに小児科でご相談下さい。
今回は、皮膚の感染症で学校を休む必要があるのかについて解説しました。病気の種類によって「休む必要があるのかどうか」「いつまで休まないといけないのか」などが異なって覚えにくいですが、困った時の参考になれば幸いです。
COI
本記事について、開示すべき COI はありません