まとめ
・未開封の化粧品 / 日焼け止めでも3年以内には使い切る。
・開封済みの製品は涼しい環境で保存し、なるべく早めに使用する。
・特にマスカラなどは細菌で汚れやすいので早めのご使用を。
「数年前に購入した化粧品は使えますか？」「捨てるべき基準はありますか？」などの質問を、皮膚科外来中に患者さんからいただくことがあります。今回の記事では、化粧品がまだ使えるかのかどうかを判断する目安について皮膚科専門医が解説いたします。
未開封の化粧品 / 日焼け止めはいつまで使える？
まず、使用期限が明記されている製品であれば、その日付までに使い切りましょう。しかし、化粧品や日焼け止めは、使用期限が書かれていないことが一般的です。
使用期限の記載が無い製品が多いのは、国の法律(医薬品医療機器等法)で「製造後3年以内で変質する化粧品を除き、使用期限を表示する必要はない」と定められているからです (参考文献 1,2)。3年 以上長持ちする製品であれば、化粧品メーカーは使用期限を書く義務が無いのですね。つまり、特に使用期限が書かれていない製品は「少なくとも製造後 3年間 は使用可能」と言えます。「未開封なら購入後 3年 近くは使って OK 」と理解しておくと分かりやすいでしょう。
なお、より厳密に製造年月日を知りたい場合には、メーカーに問い合わせることになります。化粧品には必ず「製造番号 (ロット番号) 」が表記されています (参考文献 3) ので、それを踏まえてカスタマーセンターなどへ相談してみましょう。
開封済みの製品の場合は？
さて、ここまでは「未開封の製品」についてまとめてきました。では、「開封済みの製品」はどうなのでしょうか？こちらは保管状況の影響も受けるので、なかなか明確なことが言いにくいのが実情です。例えば、日本化粧品工業会の HP では、
- 去年の夏に使い残した日焼け止めでも正しく保管できていれば使用可能。ただし、中身が分離している、変な臭いがする、色が変わっているなどの場合には使用を避ける。
- いったん開封した化粧品は早めに使いきる。来シーズンに再度使用したいなら、高温多湿や温度変化の大きい場所は避け、日の当たらない場所で保管する。
と書かれています (参考文献 4) 。
化粧品を捨てるべきタイミングの目安としては、アメリカ皮膚科学会 HP の説明が分かりやすいです。製品別に次のようにまとめられています (参考文献 5) 。
3ヶ月 で捨てるべきもの
- アイライナー (リキッドタイプ)
- マスカラ
6ヶ月 で捨てるべきもの
- BB クリーム
- クリームチーク
- アイシャドウ (リキッドタイプ)
- リップクリーム
- リッププランパー
6-9ヶ月 で捨てるべきもの
- アイシャドウ(パウダータイプ)
1年 で捨てるべきもの
- コンシーラー
- リキッドファンデーション
2年 で捨てるべきもの
- アイブロウパウダー
- リップライナー
- 口紅
2-3年 で捨てるべきもの
- アイライナー (ペンシルタイプ)
- パウダーファンデーション
マスカラは細菌感染に注意が必要
特にマスカラについては「使用開始 3ヶ月後 で、36.4% の方で使用中のマスカラチューブから表皮ブドウ球菌などの微生物が検出された」との報告があります (参考文献 6) 。目や肌を細菌感染などのリスクから避けるためには、古い製品を使い続けないことが望ましいですね。
日焼け止めは保管状況が大事
日焼け止めに関しては、アメリカ皮膚科学会も日本化粧品工業会と同様に、「保管状況が大事だよ」と以下のように呼びかけています (参考文献 5) 。
- 日焼け止めは熱に弱いので、直射日光の当たる場所や、車中などで高温で密閉された場所には置かない。
- 色や臭いが変化していたり、中身が分離したり、乾燥してパサパサだったりしていたら捨てる。
以上、化粧品や日焼け止めが使用可能かの目安について解説してきました。肌の健康を損ねないように適切な使用・保管を心がけていただけますと幸いです。
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。
