まとめ
- いわゆるホクロの癌のことを『メラノーマ』と呼びます。
- 悪性度が高いため、早期の診断と治療が大切です。
- 鉛筆の太さより大きくなったら要注意!
皮膚にできる代表的ながんはいくつかありますが、その中でも特に知っておいていただきたいのが『メラノーマ』です。
メラノーマは、いわゆるホクロのがんであり、皮膚がんの中でも特に転移しやすく、悪性度が高いという怖いものです (参考文献 1) 。
一般的なホクロは、がん (悪性腫瘍) ではありません。『良性腫瘍』なので、見た目が気になるなどの特殊なケースを除けば、治療しなくても大丈夫です。
なので、『通常のホクロ』と 『怖いホクロ (メラノーマ) 』を見分けることは非常に重要です。今回の記事ではその見分け方を皮膚科医が解説します。
ホクロとメラノーマの見分け方
メラノーマの見た目には、以下に挙げる5つの特徴があります。
- 左右対称じゃない
- 境界が分かりにくい
- 色がまだら
- 大きさが 6 mm 以上
- 見た目が変わってきている
順に見ていきましょう。なお、実際のメラノーマの写真だとちょっとショッキングかもしれないので、イラストで説明していきます。気になる方はご自身で画像を検索してみてくださいね。
①左右対称じゃない
メラノーマは不規則な形であることが多いです。半分は丸いのに、半分はギザギザなど、左右非対称になりやすいです。
②境界が分かりにくい
ホクロは境界がはっきりしていることが多いですが、メラノーマは境界が分かりにくく、どこまでが腫瘍なのか判断しにくいことが多いです。
③色がまだら
ホクロの色は一様ですが、メラノーマの色は、黒、茶色、青、赤、白などが部分的に混ざっていることがあります。
④大きさが 6 mm 以上
メラノーマはホクロに比べて大きくなりやすく、6 mm 以上ならば注意です。6 mm は鉛筆の太さと同じなので、持っている鉛筆で隠れる大きさかどうか見てみると良いでしょう。
⑤見た目が変わってきている
ホクロは基本的に同じ大きさのままですが、メラノーマは皮膚がんなのでどんどん成長していきます。サイズは大きくなり、形も不規則になり、色もまだらになっていくことが多いです。
以上がメラノーマの見た目の特徴です。
ただし、これらの特徴をすべてのメラノーマが満たすわけではありません。
ホクロに見えても実はメラノーマだったり、逆にメラノーマを疑って切除したけれどただのホクロだったり、というパターンもたまにあります。
見た目はとても参考になりますが、見た目だけで確実に診断できるわけではないということを覚えておきましょう。
メラノーマのできやすい場所
メラノーマは全身のどこの皮膚にもできる可能性がありますが、最も多いのは足の裏です。メラノーマ全体の約 30% 近くが足の裏にできるとされています (参考文献 3) 。
さらに言えば土踏まずにはほとんどできず、こすれやすい部分にできやすいことが分かっています (参考文献 4) 。
足の裏は普段あまり見ない場所なので、なかなか気づきにくいかもしれません。この機会にちらっと確認してみると良いでしょう。
他の特徴として、メラノーマが未成年に発生することはまれであり、30代以降に目立って増え始めることが分かっています (参考文献 3) 。
気になるホクロは早めに受診
ホクロだと思って放っておいたけど、実はメラノーマでもう転移していた、となってしまったら非常に残念ですよね。
足の裏やその他どこでも、鉛筆より幅があったり、形や色の気になるホクロがあったりしたら、一度皮膚科で診てもらいましょう。
なお、日光が当たる場所に出来る皮膚がんには、紫外線が関与するものもあります。次の記事を参考にして下さい。
紫外線対策については、これまで Lumedia の記事で多数取り上げてきました。こちらのページで紫外線対策の記事一覧をまとめています。
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。