爪のただしい切り方を皮膚科専門医が解説。「スクエアオフカット」を動画で学びましょう!

まとめ

  • 実は、過半数の方が「爪の切り方」を間違えています!
  • スクエアオフカット』といって、爪はまっすぐ&角は少しだけ落とすのがコツです。
  • 爪切り前後の準備やケアにも注意点があります。

「爪切り」は誰にとっても身近な行為ですよね。読者の皆さんも定期的に手や足の爪を切っていることと思います。

しかし、爪のプロである皮膚科専門医として言わせていただくと、「正しい爪切りの方法を知っている方は少ない」と感じます。実際、2004年に富山大学が439名の学生を対象に行った調査によると、足の爪に関してスクエアオフ』という適切な切り方ができている方は、全体の 35.7% と少数派でした (参考文献 1) 。 

爪の切り方が悪いと、深爪巻き爪などの爪トラブルの原因になりうるので心配です。そんな状況を憂慮してか、アメリカ皮膚科学会が「爪の切り方」という動画を無料で公開しています (参考文献 2) 。今回の記事では、この動画の解説内容を中心に、爪の切り方について説明していきます。

この記事を書いた医師

江畑 慧

Satoshi Ebata

必見!解説動画

まずは「百聞は一見にしかず」ということで、早速ですがアメリカ皮膚科学会の投稿動画を見てみましょう↓↓↓ (後から補足の説明を入れますので、英語が苦手な方もご安心ください)

ご覧になりましたか?では、細かい部分について順に説明していきますね。

①爪切り前の準備

まずは爪を切る前に必要な手順を確認しましょう。

当たり前ではあるのですが、爪はやわらかいときに切る方が良いです (参考文献 2) 。つまり、お風呂やシャワーの後の爪切りがベストですね。それが難しい場合には、ぬるま湯に爪を数分つけてから爪を切るのがオススメです。 

また、爪切りに用いる道具はアルコールでよく拭いて、月に1回はきれいに消毒しましょう。消毒後はお湯で洗い、しっかりと乾かしてから片付けてくださいね。 

②爪切り時のポイント

では、本番である爪切り時のポイントについて説明します。

意識していただきたいのは、特に足に関して爪はまっすぐ切るということです (参考文献 2) 。

角の部分については、爪やすりエメリーボードなどを使って少しだけ丸くします。こうすることで角が丈夫になりますし、衣服や家具に引っかかりにくくなります。

このように爪はまっすぐ&角は爪やすり等で少し落とす」という切り方は『スクエアオフカット』と呼ばれ、日本でも推奨されています (参考文献 3) 。

「え、自分は爪を丸く切っているよ」という方もいらっしゃると思います。この切り方は『バイアス切り』と呼ばれますが、実は大きな欠点があります。爪は縦方向に線が入っていますよね。そのため、バイアス切りのように斜め方向に切ると、爪のバランスに偏りが生じます。結果として、爪が内側へと巻き込んで巻き爪」が発生するおそれがあるのです。

先述した『スクエアオフカット』であれば、爪の縦線とは垂直方向に切ることになります。したがって、爪の縦方向の長さは一定で揃い、偏ることはありません。これにより巻き爪を予防できるわけですね。

これからは皆さんも『スクエアオフカット』を意識して、爪は足指のゆるいカーブに沿って切り、その両端のみをごくわずかに下げ気味にしてみましょう。 

なお、先述した富山大学の調査によると、爪切り後にやすりをかけている方は 28.1% と少数派のようです (参考文献 1) 。エメリーボードなどは爪の凸凹やザラザラを抑えるのに便利ですから、皮膚科専門医である筆者としてはぜひ皆様にも使っていただきたいと思います。爪やすりをかける際には同じ方向に」繰り返し使用すると、滑らかになりやすく効果的です (参考文献 2) 。

③爪切り後のケア

爪切り後にも数点注意すべきポイントがあります。

まず、いわゆる「甘皮」をいじる方がいますが、ここは爪の根本を保護する部分なので触らないようにしましょう (参考文献 2) 。下手に触ると感染症を起こすことがあるのでご注意ください。

加えて、爪切り後に保湿をすることも良いでしょう。特に空気が乾燥している時期には爪が割れやすくなりますから、白色ワセリン』などの保湿剤を爪に塗って、爪を労ってあげると良いでしょう (参考文献 4) 。 

以上、爪切りについて解説いたしました。意外と知らない部分も多かったのではないでしょうか?ご参考になったら嬉しいです。

爪がおかしいと思ったら皮膚科へ 

爪は全身の健康状態を反映します。爪切り時に「爪の色や形がおかしいなぁ」と感じたら、皮膚科医にご相談下さい。特に問題ないこともありますが、実はメラノーマという爪のがんであったり、水虫などカビの感染症だったりということもありますよ (参考文献 2) 。 

健やかな爪を守るために適切なケアを心がけましょう!

COI

本記事について、開示すべき COI はありません。