まとめ
- 高血圧症は通院されている方が多い病気ですが、無治療の方も多いです。
- 診察室血圧で 140 / 90mmHg 以上、家庭血圧で 135 / 85mmHg 以上は高血圧症と診断されます。
- 高血圧の管理には家での血圧測定が重要です。
みなさん、ご自身の血圧が高いかどうかご存知ですか?
・修正後:高血圧症は現在日本で最も通院している人が多い病気の一つですが (参考文献 1) 、2010年に日本で行われた調査によると高血圧症患者のうち、無治療の方は 43.8% であったと言われています (参考文献 2) 。
そこからの試算で2017年の我が国の高血圧症の推定患者数4,300万人のうち、推定3,100万人が治療を受けていない、あるいは治療を受けているにもかかわらず血圧のコントロールができていないとされています (参考文献 3) 。
高血圧症は放置していると脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓病などの原因となり、年間約10万人が高血圧に関係する脳心血管病で亡くなっているとされています (参考文献 3) 。
血圧にも種類がある!
血圧には病院の診察室で一定の方法で測定される診察室血圧と、自宅で測定される家庭血圧の2種類があります。
血圧の測り方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
血圧は測定する環境によっても左右されるため、環境下ごとに高血圧症の基準は異なります。診察室で血圧を測定すると、診察室内という特殊な環境から血圧が高くなる方が多いため、診察室血圧の基準は家庭血圧の基準より少し高く設定されています。
また、高血圧症の治療を行う場合には家庭血圧の値を用いて判断する事が推奨されています (参考文献 3) 。
どのくらいから「高血圧症」?
高血圧症の基準は診察室血圧で 140 / 90mmHg 以上、家庭血圧で 135 / 85mmHg 以上とされています。家庭血圧の場合は朝、夕方どちらかもしくは両方がこの基準を満たした場合に診断されます。
ただし、この基準未満であれば正常というわけではありません。正常と呼べるのは診察室血圧で 120 / 80mmHg 未満、家庭血圧で 115 / 75mmHg 未満です。
高血圧と正常の間は正常高値血圧、高値血圧とされています。これらの状態は正常血圧と比べてそれぞれ段階的に高血圧症に移行したり、脳卒中などの病気になりやすい事が知られているため、十分な経過観察や生活習慣の見直しが必要です (参考文献 3) 。
※生活習慣の具体的な見直し方については今後別の記事でご紹介する予定です。
患者さんの中には家庭血圧では高血圧でないのに診察室血圧では高血圧である方がいらっしゃいますが、この状態を白衣高血圧といいます。
「家庭での血圧が高くないのなら、問題はないだろう」と考えてしまいそうになりますが、実はそうではありません。この白衣高血圧者は今後は診察室血圧だけでなく、家庭血圧も上昇する可能性が高く、高血圧でない人に比べて脳心血管病にかかりやすい事が知られているため、決して安心できません (参考文献 3) 。
血圧が高い場合、どうすればいい?
血圧が高い方は病院で医師に相談をしましょう。
病院では、高血圧に関係する糖尿病や脂質異常症などの病気が存在しないか、あるいは高血圧が原因で心臓や腎臓が悪くなっていないかを調べます。また、特殊な病気が原因で高血圧が起こっている可能性もあるため、詳しく検査することが重要です (参考文献 4) 。
また、高血圧に対する適切な生活指導を受けられますので、血圧が高い、あるいは正常ではないと思われた方は必ず病院を受診してください。
その上で、自宅でできる生活習慣の改善のコツはまた別の記事で紹介します。
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本記事について、申告すべき COI はありません。