Lumedia 出張版『毎日新聞医療プレミア』第14弾『余命に関する誤解』が公開されました!

カテゴリ:お知らせ

公開日:2024/02/08/

勝俣範之先生 (日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授) が執筆した『余命に関する誤解』という記事が、毎日新聞の『医療プレミア』に掲載されました!

医療プレミアは、「長く健やかに暮らす」ことを目指して、健康に役立つトピックを分かりやすく伝えるウェブメディアです。

Lumedia 顧問の勝俣先生が、「がんによくある誤解と迷信」をテーマに、医療プレミアでコラムを連載しています。このコラムは、「国民の2人に1人が罹患する」とされるがんの予防や治療に関して、適切な科学的根拠に基づいた正確な知識をお届けするものです。

今回は連載の第14弾として、余命や緩和ケアについての話題を中心に解説をしています。以下に記事の概要をご紹介しますので、詳細が気になった方はぜひ医療プレミアの記事も覗いてみてください。

※第13弾の『「副作用が怖い」は昔の話 がん薬物療法の最近の進歩』をまだお読みでない方は、こちらをご覧ください。

余命予測が困難な理由とは?

「余命6ヵ月と言われたけど、1年も生きています」
こういった言葉を聞いたことはないでしょうか?医師から言われた余命というのは、このような形で間違っていることがよくあります。 

余命予測がなぜ難しいかというと、進行がん患者さんであっても、ほとんどの患者さんは亡くなる最後の数カ月くらい前までは元気でいられるからです。多発臓器転移があっても、とくに症状がないことはよくあることです。また、もしがんによる症状があったとしても、適切な対症療法によって、症状を抑えることができます。

がん患者さんの場合は、亡くなる少し前までかなり全身状態が良い状況が続きますが、一旦症状が出てきますと、急激に悪化して亡くなります。 その状態を、“坂道を転げ落ちるように”と表現することがあります。数日前までは元気にしていたのに、ここ数日間で、体力が急に落ちたように感じる、食欲がなくなってきた、歩くのもやっとになった、などと症状が進んでいくことがあります。

 すべての患者さんがこのパターンになるということは言えませんが、おおよそ、このような感じと考えていただければよいです。がん患者さんの全身状態は、亡くなる最後まで良好な場合が多いため、予後予測が難しくなるのだと思います。

緩和ケアの進歩と誤解

「ホスピス=死」「ホスピスに入院したらすぐに死んでしまう」といった印象をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?

皆さんの印象とは大きく異なり、最近の緩和ケア病棟は、“がん患者さんのつらい症状に専門的に対処するところ”という役割を担っています。

 末期がん患者さんのケアをすることはもちろん含まれますが、適切な緩和ケアを受けることによって、症状が落ち着いたら、退院も可能となります。 つまり、現代では、“緩和ケア病棟に入ったら、すぐに死んでしまう”のではなく、“症状が落ち着いたら、退院もできる、できるだけ入院せず、在宅で過ごすことができる”ようになっているということなのです。

日本のがん患者さんの亡くなる場所として、病院が多い原因としては、実際に、がんにかかると、治療を最期まで受けてしまうことが多く、緩和ケア病棟や在宅とうまく連携ができていない、などの理由も考えられますが、予後予測が難しいということも原因の一つになっていると思います。

患者さんご自身も、最期まで比較的全身状態が良く、元気であることが多いので、「こんなに元気なのに、すぐに亡くなるとは思えない」「まだ元気だから、ホスピスなどは考えなくともよい」と考えてしまうのではないでしょうか。

最善を期待し、最悪に備える

がんになると、主治医から、予後・余命について、緩和ケアについて説明を受けることがあるかもしれません。そのような際には、大変ショックを受けられるかもしれません。また、今後の見通しのことについて考えることは、不安も大きいことと思います。 

もし、主治医から、予後・余命について言われたとき、緩和ケアについて話されたとき、まずは、むやみに恐れないでほしいと思います。

そのような場合でも、次のように考えてみてはいかがでしょうか。

  •  自分がこの先どれだけ生きられるのかは、誰にも決められない。医師でもわからないし、医師に決められるものでもない。
  •  がんは、急に悪化することがあるかもしれないが、長く共存できるかもしれない。
  •  がんの症状に対しては、適切な緩和ケアを受けることで、つらい症状は抑えることができる。終末期が近くなっても、適切な緩和ケアを受ければ、最後まで元気でいられるし、苦しむことはない。
  •  いずれ、がんの症状が悪化してくることがあるかもしれないが、それまでは、あせらず、あわてず、あきらめず、自分らしく、自分ができることをやっていける。
  •  最善を期待し、最悪に備えることが大切。

 あきらめるのではありません。最後まであきらめないで、自分らしく過ごす方策が必ず見つかることと思います。

以上、『毎日新聞医療プレミア』第14弾「余命に関する誤解」の概要のご紹介でした。

医療プレミアの本記事では、余命予測が難しい理由や緩和ケアについて勝俣先生が詳しくご説明されています。ぜひ本記事もご一読ください。

経験豊富な医師でも間違える 「6割は当たらない」余命に関する誤解 | がんによくある誤解と迷信 | 勝俣範之 | 毎日新聞「医療プレミア」

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