まとめ
- 保湿剤は1日2回塗ることが推奨されています。
- 1日1回では効果が劣ります。まとめて大量に塗っても効果は上がりません。
- 服にくっつくのが嫌で保湿剤を1日2回塗りにくい方は、ベタつきにくいタイプの保湿剤を選ぶと良いかもしれません。
乾燥肌にお悩みで、保湿剤を使っている方は多いですよね。ただ「保湿剤は1日に何回塗るのが良いの?」と問われると、意外とご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、保湿剤を塗る回数などについて皮膚科専門医が解説していきます。
推奨されている回数
結論から申し上げると、保湿剤は「1日2回」塗ることが推奨されています。
日本皮膚科学会が発行している『皮脂欠乏症診療の手引き 2021』でも、「1日1回だけ塗るよりも、1日2回塗るほうが高い保湿効果を期待できるよ」と言及されています (参考文献 1) 。
塗るタイミングとしては、
1回目: 夜の入浴後に保湿
2回目: 翌日パジャマから着替えるとき or お出かけ前にもう一度保湿
などが考えられますね。
なお、お顔については朝の洗顔後に保湿をしている方が多いと思いますので、そのついでに体にも塗るようにすると忘れにくいかもしれません。
1日1回では効果が劣る
1日2回と聞くと、「塗り直すのは面倒だなぁ。1日1回だけでも何とかならないの?」と思われるかもしれません。確かに保湿剤を塗るのは手間がかかりますから、1日に1回で済めば楽ですよね。ただ、やはり過去の研究結果では「1日1回」と「1日2回」では保湿力に違いが出るようなのです。
具体的な研究結果を見てみましょう。東京逓信病院で行われ、2012年に発表された研究です (参考文献 2) 。
この実験では、20代の方5名に対して『ヒルドイドソフト軟膏』と『ヒルドイドローション』という2種類の保湿剤を、前腕の内側部分に「1日1回」もしくは「1日2回」の頻度で、合計14日間塗ってみました。
試験期間中における皮膚の水分量を測定したところ、『ヒルドイドソフト軟膏』と『ヒルドイドローション』のどちらを塗った場合でも、「1日2回」塗るときの方が「1日1回」塗るときよりも皮膚の水分量が多い傾向が見られました。
つまり、「1日2回塗ることで保湿力が高まる」と考えられたのです。
1回で大量に塗れば良いの?
この実験では「1日1回、適量 (2 mg/cm2) の保湿剤を塗る場合」と「1日1回、適量の1.5倍の保湿剤を塗る場合」とで保湿力が変わるのかについても検証しました (参考文献 2) 。
結果としては、保湿剤の量を増やしても保湿力はアップしませんでした。「1日1回でも、まとめて大量に保湿剤を塗ればよいのでは?」という作戦ではうまくいかないのですね。
やはり、保湿剤は1日2回塗るのが良さそうです。
ベタつきが気になる方へ
ただ、ここまで読んでも「いや~、朝の外出前に保湿剤を塗ったら服がベタベタになっちゃうから、1日2回塗るのは厳しいなぁ。」とお感じの方もいらっしゃると思います。これを完璧に解決するのは難しいのですが、実は「ベタつきにくいタイプの保湿剤を選ぶ」ことで、ある程度は改善可能です。
たとえば、同じヒルドイドでも『ヒルドイドクリーム』という製品は、『ヒルドイドソフト軟膏』に比べると、衣服へ付着してしまう量が「3分の1以下」です (参考文献 3) 。ヒルドイドクリームは外側の層が「水」でできているので、外側の層が「油」であるヒルドイドソフト軟膏よりも衣服にくっつきにくいというメリットがあるのですね。
一口に保湿剤といっても、軟膏タイプ/ クリームタイプ/ ローションなど色々ありますので、使いやすい製品を選ぶのが大事です。病院で保湿剤を処方されていて「服にくっつくから朝は保湿剤を塗れないなぁ」などとお困りの方は、病院の先生と保湿剤のタイプについて相談してみましょう!
1日2回の保湿がベスト
以上、保湿剤を塗る回数などについて解説いたしました。1日2回の保湿剤で、ぜひ乾燥肌を改善してくださいね。
リップクリームについて、またニキビにおすすめの化粧水/ 乳液/ 美容液についてはこちらの記事を参考にしてください。
COI
本記事について、開示すべき COI はありません。