勝俣範之先生 (日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授) が執筆した「緩和ケアの誤解」という記事が、毎日新聞の『医療プレミア』に掲載されました!
医療プレミアは、「長く健やかに暮らす」ことを目指して、健康に役立つトピックを分かりやすく伝えるウェブメディアです。
Lumedia 顧問の勝俣先生が、「がんによくある誤解と迷信」をテーマに、医療プレミアでコラムを連載しています。このコラムは、「国民の2人に1人が罹患する」とされるがんの予防や治療に関して、適切な科学的根拠に基づいた正確な知識をお届けするものです。
今回は連載の第17弾として、緩和ケアを中心に解説をしています。以下に記事の概要をご紹介しますので、詳細が気になった方はぜひ医療プレミアの記事も覗いてみてください。
※第16弾の「あなたは無駄なオプションをつけていませんか 腫瘍マーカーによる検診」をまだお読みでない方は、こちらをご覧ください。
緩和ケアとは「何もしない」ではない
がんにおける緩和ケアとは、WHO の定義に基づくと、患者さんとその家族の苦痛を予防し和らげるアプローチのことです。もともと末期がん患者に対する終末期ケア (ホスピスケアとも呼びます) から始まったものですが、現在では診断時から必要なものであるとされています。
日本では国民の 約6割 が終末期医療を「自宅で療養したい」と希望されていますが、実際の死亡場所としてはまだまだ病院死が多いという現状があります。これは、在宅ケアや緩和ケア病棟が少ないこと、病院とこれらの連携がうまくいっていないこと、病気になると意向が変わるなどの色々な要素が関係していると考えられます。
身体の痛みだけでなく、心理的な苦痛にも対応する
がん患者さんの苦痛は多面的な苦痛が互いに関連し合っているものとして、トータルペイン (全人的苦痛) として捉えて緩和ケアを行っていくべきと考えられています。具体的な緩和ケアの内容としては、まず、がんによる痛みやつらさ、食欲不振など、あらゆる身体的苦痛を和らげるように対応します。また、体の痛みだけでなく、精神的な落ち込みや悲しみ、仕事ができなくなってしまったなどの社会的苦痛にも対応します。さらに、「なぜこんな病気になってしまったのか?」といったスピリチュアルペインと呼ばれる苦痛にも対応します。
2022年に国立がん研究センターが公表した調査によると、死亡前1か月間の療養生活の質として痛みが少なく過ごせた割合は、緩和ケア病棟で亡くなった場合が最も高くなりました。人として大切にされていた割合は自宅が最も高く、病院で亡くなった場合が低い結果になりました。これは、緩和ケア病棟や在宅医療においては緩和ケア専門医や在宅緩和ケアの専門家がチームでケアを行うため当然かもしれません。
以上、『毎日新聞医療プレミア』第17弾「緩和ケアの誤解」の概要のご紹介でした。
医療プレミアの本記事では、日本における緩和ケアを取り巻く現状や緩和ケアの効果を検証した研究についても勝俣先生が詳しくご説明されています。ぜひ本記事もご一読ください。
安楽死よりももっと知られるべきな終末期の医療 あなたが誤解している「緩和ケア」 | がんによくある誤解と迷信 | 勝俣範之 | 毎日新聞「医療プレミア」
もし記事へのご感想やご質問などありましたら、お問い合わせフォームからコメントをお願いいたします。
これからもがんに関する正しい情報を分かりやすくお届けいたしますので、ご期待ください。
※出張版の本記事も、普段の記事と同様に Lumedia 編集部でのチェックを経て正確性を担保しておりますのでご安心ください。査読作業は、帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 病院教授 渡邊清高 先生にお願いいたしました。
COI
本記事に関する利益相反として、「顧問:EPS株式会社、講演料:日本臓器製薬株式会社」を申告いたします。それとは別に、 Lumedia 編集部として毎日新聞から記事執筆料を受け取っております。ただし、Lumedia としては今後も外部メディアの影響を受けて偏ること無く、科学的正確さを徹底した記事更新を心がけてまいります。