Lumedia 出張版『毎日新聞医療プレミア』第9弾「商業主義の『がん検診』に要注意!」が公開されました!

Lumedia 顧問の勝俣範之先生 (日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授) が執筆した商業主義の『がん検診』に要注意!」という記事が、毎日新聞の『医療プレミア』に掲載されました!

医療プレミアは、「長く健やかに暮らす」ことをめざして、健康の役立つトピックを分かりやすく伝えるメディアです。Lumedia 顧問を務める勝俣教授が「がんによくある誤解と迷信」というコラムを、Lumedia 出張版として同サイト内で執筆しております。

このコラムは、「国民の2人に1人が罹患する」とされるがんの予防や治療に関して、適切な科学的根拠に基づいた正確な知識をお届けするものです。

今回は連載の第9弾として、商業主義的ながん検診を中心に解説をしています。以下に記事の概要をご紹介しますので、詳細が気になった方はぜひ医療プレミアの記事も覗いてみてください。

※記事は有料配信ですが、キャンペーンにより 2023年7月27日17時までの会員登録で、最初の2カ月は無料で全ての有料記事が読み放題となるそうです。
※第8弾の「不要ながん検診を知っていますか?」をまだお読みでない方は、こちらをご覧ください。

その検診、本当に受ける必要がある?

がん検診にはメリットだけでなく、過剰診断や過剰治療といったデメリットもあります。
受けるべき検診とは、国が推奨するがん検診 (大腸がん、子宮頸がん、乳がん、胃がん、肺がん検診) ですが、世の中には PET 検診や腫瘍マーカー検診、あるいは最近テレビなどで宣伝されている「線虫によるがん検診」といったものも存在します。
これらについては、科学的根拠があるのでしょうか。また、これらを受ける必要はあるのでしょうか。

結論からお話しすると、PET 検診や腫瘍マーカー検診は、がんの死亡率を低下させるまでのエビデンスは得られず、「がん検診としては」推奨されないという結果になっています
PET は他の検査でがんの疑いがある際に精密検査として用いるべき検査であり、腫瘍マーカーの主な目的は、がんの診断やがん治療の効果判定における補助診断なのです。

それにもかかわらず、PET を有する多くの病院などが、 “がんの早期発見” としてPET検診を行っています。保険が適用されない PET 検診は、自費で非常に高額な費用がかかり、その利益は直接病院に入るのです。
PET 検診は利益誘導のためには有益だといえるのかもしれません。

腫瘍マーカー検診についても、日本では地方自治体や人間ドックなどのオプションで行われていることがありますが、決して推奨できる検診とはいえません。

線虫がん検診についてはどうでしょうか。
がん検診については、研究結果の信頼性を評価する指標 (エビデンスレベル) があるのですが、残念ながら線虫がん検診のエビデンスレベルは低く、がん検診としての線虫検査は、現時点では一般に推奨できるものではないと考えられます
さらなる研究を重ね、エビデンスレベルの高い研究結果が求められます。

がんの早期診断と、スクリーニング (検診) を区別すべき 

がんは「早期発見、早期治療が大事」とよく言われますが、がんの診断に関しては、早期診断とスクリーニング (検診) とを分けて考えるべきです。

早期診断とは、何らかの症状があり、がんの診断を早くつけることです。がんの可能性がある特定の症状が見られる場合には、なるべく早く医療機関を受診すべきです。

一方でスクリーニングとは、無症状の一般市民を対象とした検査プログラム (がん検診) のことを指します。
がん検診に関しては、メリットだけでなく、見落としや偽陽性 (陽性ではないのに陽性であると判定されること) 、過剰診断、過剰治療の問題もあり、一部のがんにのみ推奨されます。

日本においては、早期診断の遅れに関する問題はあまり報告されていません。むしろ、過剰な「がん検診」が行われていることが問題であると考えられます。
過剰な検診や過剰な治療が行われないようにすること、適正な医療を行うことが日本の進むべき方向ではないでしょうか。

以上、『毎日新聞医療プレミア』第9弾「商業主義の『がん検診』に要注意!」の概要のご紹介でした。

医療プレミアの本記事では、PET 検診や腫瘍マーカー検診、線虫がん検診がどのようなもので、なぜがん検診としては推奨されないのかなどについて、勝俣先生が詳しく解説しています。また、早期診断が必要な症状や、スクリーニングが推奨されるがんについても具体的にお話しをしておりますので、ぜひ本記事もご一読ください。
商業主義の『がん検診』に要注意!

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※出張版の本記事も、普段の記事と同様に Lumedia 編集部でのチェックを経て正確性を担保しておりますのでご安心ください。査読作業は、帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 病院教授 渡邊清高 先生にお願いいたしました。

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